研究課題/領域番号 |
22K02680
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仲野 安紗 京都大学, 次世代研究創成ユニット, 特定准教授 (60911930)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 科学技術政策 / 研究支援 / デンマーク / スペイン |
研究実績の概要 |
本研究は、① 科学技術政策と学術研究活動の相互連関の俯瞰的検討を目的とした国内外の調査を比較し、学術研究支援施策を介して相互連関の「悪循環」に立ち至った経緯とそれが日本の研究現場にもたらしている影響を解明すること、とりわけ、②国内では顧みられることのなかった学術研究政策を行うスペインとデンマークの潮流を新たな視点として取入れながら、「悪循環」から「好循環」へと転換する方途を探ることを目的としている。 2022年度は、I. 対象2カ国での学術研究政策に関するフィールド調査については、 デンマークにおいて研究協力者を得て、王立機関、研究機関、政府機関に所属して施策に関与する人々に対して、個別に聞き取り調査を行うとともに、国内の学術研究政策と国際機関との関わりや大学改革20年を節目とする今後の動向の情報収集と議論を行った。また本研究のテーマに類似するデンマーク国内外で出版されている文献を調査した。スペインにおいては、政府機関に所属する研究者らからコロナ禍を経た今後の学術政策動向に関する情報収集を行った。 II . 国内の研究支援施策と主要研究大学における研究環境の変化に関する調査については、 学術研究支援の実施者の1人として、研究現場における施策の受け止めに関する調査を継続する傍ら、特に、科学技術政策に対する支援や支援機関という視点から文献調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度のフィールド調査に関しては、スペインにおいてはコロナ禍による国際的な学術施策への影響が予想以上に大きく、聞き取り調査への協力が得にくい状況となっている。一方、デンマークの調査においては現地の複数のコミュニティを介して、効率的な調査を実施できており、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
スペインのフィールド調査環境に関しては、スペイン国内に限らず、国外機関に在籍する学術施策の関係者とも緊密に連携をとり科学技術政策の動向調査を継続しつつ、本研究を遂行する。併せて、本研究に類似するテーマに取り組む欧州各国内の研究者との議論を介して調査環境を改善しつつ、研究を推進する。 科学技術政策がもたらした学術研究活動への影響に関する俯瞰的検討を目的とした日本国内の既存の調査に関しては、2022年度に得られた視点による文献調査を引き続き行い、その関与者との議論を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州へのフィールド調査は、所属機関で研究支援者として実施する欧州出張に続く期間で実施した。そのため、渡航費の一部が別経費に計上され、次年度使用額が生じた。旅費の高騰及び円安の影響が継続すると予想されるため、当初計画の差額分に充当する計画である。
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