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2023 年度 実施状況報告書

大学の教学マネジメントを最適化する教育本部機構の構造と機能に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K02682
研究機関神戸大学

研究代表者

近田 政博  神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (80281062)

研究分担者 山内 乾史  佛教大学, 教育学部, 教授 (20240070)
葛城 浩一  神戸大学, 大学教育推進機構, 准教授 (40423363)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードコア・カリキュラム / 学士課程教育 / 教養科目 / ディプロマ・ポリシー / 質保証 / 教学マネジメント / 教育本部機構
研究実績の概要

令和5年度は、日本の学士課程教育において教養科目のコア・カリキュラムがどのように構成されているのかを文献資料によって検証し、その特質と課題を明らかにした。コア・カリキュラムの編成原理には、特定の科目群を選択必修とする「領域コア方式」と、特定科目を必修とする「科目コア方式」がある。ハーバード大学から大きな影響を受けた日本の国立大学では、「領域コア方式」が主流をなしていた。旧教養部時代は「〇〇学」のような学問分野別科目が中心であったが、教養部廃止以後は「〇〇の成り立ち」「〇〇と〇〇」のような主題別科目も増えつつある。今日の国立総合大学の教養科目においては、学問分野別科目と主題別科目が並存している状態である。近年では初年次教育や導入教育の要素を教養科目のなかに取り入れて、「科目コア方式」を導入する事例が増えつつある。
また、ディプロマ・ポリシーで定める能力の評価方法として、特定の科目群の成績と学生の卒業時アンケートの関係性を論文において分析した。すなわち、成績という直接評価と学生の自己認識という間接評価の関係性を検討した。その結果、直接評価の指標としてのGPAおよびGPの合計値と、間接評価の指標としての卒業時アンケート回答結果の間には、有意な正の相関関係は総じてみられなかった。その理由としては、自身の学修成果について振り返ることが学生に認識されておらず、ディプロマ・ポリシーやカリキュラム・マップを理解しないまま履修が進んでいること、授業外学修時間が相対的に少ない学生が「少ない学修への投資」に見合う見返りとして卒業時アンケート調査に一定のポジティブな回答をした可能性が考えられることを指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで教育本部機構の構造と機能については、ディプロマ・ポリシーに基づいて教育本部機構がどのように構成されているか、とりわけ教育本部機構の根幹をなす全学共通教育の実施組織のカリキュラムがどのように構成されているかを、国内の主要研究大学を事例として調査してきた。また、大学院課程における共通教育の実施体制と課題についても検証を行った。
令和5年度は全学共通教育のなかでコア・カリキュラムがどのように体現されているかを検証することによって、大学全体のなかで教育本部機構や全学共通教育の実施組織がどのような位置づけになっているかを明らかにした。また教学IRの機能がどのように教育本部機構のなかに位置づけられているかを確認するために、特定の科目群の成績と学生の卒業時アンケートの関係性について調査を行った。この結果、学生はディプロマ・ポリシーにおいて自分にどのような能力形成が求められているかをあまり認識しておらず、この点を教育本部機構内の教学IR組織がサポートしていく必要があることを確認できた。

今後の研究の推進方策

国内主要研究大学における全学共通授業科目の目標、実施体制、カリキュラムの変遷過程を調査することで、旧教養部の廃止以降、学士課程教育および大学院教育において、全学規模で歴史上どのような課題が存在し、それらを教育本部機構がどのように対応しようとしたのかを検証する。
コア・カリキュラムや全学共通教育の持続可能性と教育効果を高めるために、各種委員会、教育部会、ティーチング・アシスタント、研究大学において増えている上級ティーチング・アシスタント、諸規則、事務担当などの教育インフラをどのように整備するのが合理的なのかを国内主要研究大学の事例から検証する。
教育本部機構の主要機能の一つである教学IRについては、全学ディプロマ・ポリシーと各部局ディプロマ・ポリシーの達成状況の関係性を検証する。これによりディプロマ・ポリシーの達成目標の設定・調整等において教学IR組織が果たす役割を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

令和6年3月分の研究補佐員の謝金を4月に支出する必要があったので、あらかじめその分を繰り越しておいた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 学士課程教育における教養科目のコア・カリキュラム : その特質と課題2024

    • 著者名/発表者名
      近田政博、山内乾史
    • 雑誌名

      大学教育研究

      巻: 32 ページ: 11-30

    • DOI

      10.24546/0100488353

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ディプロマ・ポリシーで定める能力をどのように評価するか : 直接評価と間接評価の関係性に着目して2024

    • 著者名/発表者名
      葛城浩一
    • 雑誌名

      大学教育研究

      巻: 32 ページ: 59-78

    • DOI

      10.24546/0100488360

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 神戸大学における2学期クォーター制:導入のねらいとその成果や課題2024

    • 著者名/発表者名
      近田政博
    • 学会等名
      千葉大学シンポジウム「ターム制の効用と問題点:メリハリをつけた学期制の可能性」
    • 招待講演
  • [学会発表] 神戸大学の大学教員準備講座:後発型大学の挑戦2023

    • 著者名/発表者名
      近田政博
    • 学会等名
      大学教育学会第45回大会ラウンドテーブル
  • [図書] 改訂版学びのティップス 大学で鍛える思考法2024

    • 著者名/発表者名
      近田政博
    • 総ページ数
      111
    • 出版者
      玉川大学出版部
    • ISBN
      978-4-472-40637-9

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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