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2022 年度 実施状況報告書

「キャリアにまつわる神話」の脱構築メカニズムの解明とライフキャリア教育への適用

研究課題

研究課題/領域番号 22K02700
研究機関関西大学

研究代表者

杉本 英晴  関西大学, 社会学部, 准教授 (20548242)

研究分担者 寺澤 朝子  中部大学, 経営情報学部, 教授 (40273247)
佐藤 友美 (分部友美)  九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (80633825)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードキャリアにまつわる神話 / ライフキャリア教育 / 学校から仕事への移行 / キャリア発達 / 思い込みの脱構築
研究実績の概要

本研究では,大学におけるキャリア教育プログラムとして,ワークキャリアへの偏重を見直しライフキャリア教育プログラムを構築すべく,「キャリアにまつわる神話」(以下,キャリア神話)に焦点をあて,神話が限定的な進路意思決定に及ぼす影響とともにそうした神話の脱構築メカニズムを解明することを目的としている。
3年間の研究期間の初年度にあたる令和4年度は,1)神話の脱構築を前提とせずにこれまでに構築してきたライフキャリア教育の効果測定を行うことで標準的なライフキャリア教育の基準を明確化すること,2)これまで十分な検討が行われてこなかった「キャリア神話」の尺度を作成することが目的であった。
1)については,基準となるライフキャリア教育の効果測定を行うべく,ライフキャリア教育の授業の受講者・非受講者の大学生を対象に,毎回の授業における効果と15回の授業を通しての効果について,質問紙調査による検証を行った。その結果,受講者は授業に対する高いコミットメントやキャリア意識の深まりを毎回の授業で促され,授業全体を通して非受講者に比べ,自尊感情の向上,進路選択に対する自己効力の向上,時間的展望の未来の側面の拡がり,キャリア・アダプタビリティの向上,さらにはコミュニケーション・スキルの獲得など,十分な教育効果が確認された。
2)については,「キャリア神話」の尺度を構成する項目を検討するため,大学生を対象に,ワークキャリアやライフキャリアの中で,自分自身が十分な根拠もなく信じていたこと,思い込んでいたことや,そうした思い込みを構築・脱構築した理由などについて,自由記述による調査を実施した。その結果,これまでワークキャリアの観点からのみ行われてきたキャリア神話の内容は不十分であり,ライフキャリアの観点からも検討する必要性が示唆された。
なお,本研究結果の一部は,中部大学研究22号にて報告を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度は,「キャリア神話」に関する尺度項目を設定し,尺度を作成することであった。尺度項目について,大学生からは順調にデータ収集していたが,社会人からのデータ収集が滞り,十分な項目内容を想定することができなかった。これまであまり注目を集めてこなかったものの,大学生のキャリア意思決定を抑制するであろう「キャリア神話」を,本研究で提言していくにあたり,より高い信頼性・妥当性を兼ね備えた尺度を作成すること,そのための尺度項目を設定することは非常に重要な手続きであると思われる。
そこで,「キャリア神話」について,社会人の観点からより包括的に概念を設定し,尺度項目を収集し直す。令和5年度の前期には,調査実施の準備を整えており,データを収集し尺度作成を行う予定である。

今後の研究の推進方策

令和5年度の前期には,社会人に実施する「キャリア神話」に関する尺度の項目に関する調査を学生のデータと併せて集計し,尺度を構成する概念を設定し,「キャリア神話」尺度を作成する。令和5年度の後期には妥当性の検証を行うべく,調査を実施したうえで,十分な信頼性・妥当性を有した尺度を作成する予定である。
令和5年度の後期には,並行して抽出された神話をKJ法により分類したうえで,回答者数名を神話ごとに抽出し計20名程度にインタビュー調査を行う。半構造化面接によりデータを収集し,2022年度末までにはM-GTAによる質的な分析から,キャリア神話が学生の進路選択・決定,新入社員の職場適応に及ぼす影響に関する仮説モデルを構築する。
令和6年度には,構築されたキャリア神話が学生の進路選択・決定,新入社員の職場適応に及ぼす影響に関する仮説モデルの検証を行うべく,質問紙調査を実施する。さらには,キャリア神話の脱構築メカニズムについても明らかにするために,インタビュー調査を行う予定である。
なお,これらの研究成果は,日本心理学会や日本キャリア教育学会にて,学会発表や学会誌への投稿により行っていく予定である。さらに,研究協力者には,研究成果公開パンフレットを最終年度に作成し配布するとともに,インターネットでも公開する予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度に作成を予定していた尺度の項目選定をより詳細に行う必要があり,そのためより多くの調査を行うことが求められた。そのため,データ入力補助者への人件費の支出が少額となり,また購入予定であった分析用ソフトMplusについて購入を延期した。これらについては,令和5年度研究計画の予算と合わせて,令和5年度での支出を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ライフキャリア教育科目「自己開拓」の開発および教育効果の検証ー2021 年度授業に基づく検証ー2022

    • 著者名/発表者名
      杉本英晴・佐藤友美・寺澤朝子
    • 雑誌名

      中部大学教育研究

      巻: 22 ページ: 13-25

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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