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2023 年度 実施状況報告書

多職種連携教育を推進する教師のコンピテンシーの調査および教師育成プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K02726
研究機関北陸大学

研究代表者

關谷 暁子  北陸大学, 医療保健学部, 准教授 (10452111)

研究分担者 杉森 公一  北陸大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40581632)
大村 裕佳子  金城大学, 看護学部, 助教 (10967243)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード多職種連携教育(IPE) / 多職種協働実践(IPCP) / 保健医療福祉連携 / コンピテンシー / サードプレイスIPE
研究実績の概要

本研究の目的は、多職種連携教育(IPE)の推進者となる教師を育成するための、コンピテンシー基盤型の教育プログラムを開発することである。学生時代に学生主体のサードプレイスIPEの企画・運営を経験した保健医療職と対象に、当時の学びと、現在の職場の専門職連携実践(Interprofessional Collaborative Practice:IPCP)への影響を調査した。半構造化面接で得られたデータから逐語録を作成し、テーマ分析を行った。テーマ分析の結果、33個のコードが抽出され、それらは5つのカテゴリに分類された。対象者らは、サードプレイスIPEにおいて参加者の多様な人間性から学び、自職種と他職種についての理解を往還しながら深める中で、患者を中心とした協働の重要性や、多職種のお互いへのリスペクトを学び、理想的なIPCPのイメージを形成していた。そのイメージは、卒業後の職場における他職種への心理的障壁の低さや、他職種の専門性理解による連携のしやすさ、積極的に他職種と関わろうとする姿勢に繋がっていた。また、対象者は学生時代に経験した共同学習を通して、IPEでは実践者と学生の権威勾配への配慮や、心理的安全性が高く楽しい雰囲気づくりが重要であると考察していた。
一方で対象者らは、現在の職場ではIPE/IPCPが不足していたり、不十分であると感じ、卒前に抱いた理想的な協働のイメージと現実とのギャップに葛藤していた。そこには現在の職場での人間関係や組織風土、個人の意欲ややり方の違いなどの職場環境が影響していた。しかし、対象者らにはかつて共に学んだ仲間との繋がりを励みに、理想をあきらめず他者と協働しようとする姿勢がみられた。
以上より、学生時代に自ら主体的にIPEを設計し、多職種がともに学ぶ際の場づくりを経験した実践者へのインタビュー調査から、実践者としてのコンピテンシーの発達の一端をみた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現任の医療従事者12名へのインタビュー調査の分析はほぼ完了したが、令和5年度中の計画であった「IPE推進者のコンピテンシー」の立案までには至れなかった。

今後の研究の推進方策

学生時代にIPEを経験し、現在IPE推進者となった人たちのうち、「IPE推進者としてのコンピテンシーの発達」と関連の深い経験を有するIPE推進者の逐語録を、Steps for Coding and Theorization(SCAT)の手法を用いてさらに詳しく分析し、これらのコンピテンシーの発達のきっかけとなった具体的な状況について詳細な分析を行う。分析結果から、「IPE推進者のコンピテンシー」を立案するとともに、個々のコンピテンシーに評価基準を設けてスコア化したルーブリックおよび質問紙を作成する。以上において、質問紙の作成およびインタビューを大村、SCAT分析およびテキストマイニングを大村と關谷、コンピテンシーの立案を關谷、大村、杉森が行う。
抽出されたコンピテンシーおよびその発達プロセスを意図的に組み込んだ対話型ワークショップを開発、実施する。プログラムの実施期間、複数回にわたり参加者の「IPE推進者のコンピテンシー」を、作成したルーブリックおよび質問紙を用いて質的および量的に評価する。以上において、ワークショップの開発、実施およびアンケート調査結果の質的分析を關谷と大村が行う。量的分析を關谷と杉森が行う。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗がやや遅れており、国際学会への参加および英文雑誌への投稿を見送ったため、次年度使用額が生じた。
本研究の成果を次年度中にJournal of Interprofessional Careに投稿予定であり、次年度使用額は投稿料ならびに英文校正料として使用予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] ラウンドテーブル報告3「双方向型の授業」を問い直す―コロナ禍での遠隔授業の経験をきっかけとして―2024

    • 著者名/発表者名
      垣花渉,渡邊順子,關谷暁子
    • 雑誌名

      初年次教育学会誌

      巻: 16 ページ: 57-61

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 体験!とやまいぴー ―多職種連携教育をデザインしよう―2023

    • 著者名/発表者名
      三浦太郎,小浦友行,清水洋介,大村裕佳子,關谷暁子,堀田麻緒
    • 雑誌名

      新しい医学教育の流れ

      巻: 23 ページ: 136-138

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] マルチモビディティをバランスよく見るための妄想力を鍛えるカンファレンス(通称マルモカンファレンス)をやってみよう!2023

    • 著者名/発表者名
      大浦誠,小川太志,伊藤恭平,小川風吹,坂東裕,平辻寛,武島健人,杉森公一,關谷暁子,大村裕佳子,遠藤あゆみ,加藤敏明,宮澤正咲
    • 雑誌名

      新しい医学教育の流れ

      巻: 23 ページ: 165-169

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 私が実践している多職種連携教育~うまくいっていること、困っていること~2023

    • 著者名/発表者名
      關谷暁子
    • 学会等名
      第16回日本保健医療福祉連携教育学会
  • [学会発表] サードプレイスでの学びが正課教育に役立った経験2023

    • 著者名/発表者名
      關谷暁子,大村裕佳子,清水洋介,堀田麻緒,村山大輔,畠山早織,金澤佑治,大工谷新一,清水芳行,杉森公一
    • 学会等名
      第16回日本保健医療福祉連携教育学会
  • [学会発表] ACLS金沢とあいまいぴーのコラボイベント~I-E-Oモデルを活用したIPEプログラム開発と評価~2023

    • 著者名/発表者名
      加藤敏明,遠藤あゆみ,戸上央,大村裕佳子,關谷暁子
    • 学会等名
      第16回保健医療福祉連携教育学会
  • [学会発表] 体験!とやまいぴー -多職種連携教育をデザインしよう-2023

    • 著者名/発表者名
      三浦太郎,小浦友行,清水洋介,大村裕佳子,關谷暁子,堀田麻緒
    • 学会等名
      第86回医学教育セミナーとワークショップ
  • [学会発表] マルチモビディティをバランスよく見るための妄想力を鍛えるカンファレンス(通称マルモカンファレンス)をやってみよう2023

    • 著者名/発表者名
      大浦 誠,小川太志,伊藤恭平,小川風吹,坂東 裕,平辻 寛,武島健人,杉森公一,關谷暁子,大村裕佳子,遠藤あゆみ,加藤敏明,宮澤正咲
    • 学会等名
      第86回医学教育セミナーとワークショップ
  • [学会発表] “マルモカンファレンス”が総合診療医の多疾患併存診療に与える影響について2023

    • 著者名/発表者名
      大浦誠,杉森公一,關谷暁子,大村裕佳子
    • 学会等名
      第55回医学教育学会

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公開日: 2024-12-25  

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