研究課題/領域番号 |
22K02732
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研究機関 | 洗足こども短期大学 |
研究代表者 |
長島 万里子 洗足こども短期大学, 幼児教育保育科, 准教授 (60591451)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 韓国高等教育 / 保育者養成 / 短期高等教育機関 / 日韓比較 / 幼児教育保育政策 / 幼児教育保育制度 |
研究実績の概要 |
初年度である2022年度はまず韓国の幼児教育・保育および保育者養成をめぐる状況を文献調査した。 韓国では少子高齢化が急速に進み、第4次低出産・高齢社会基本計画において男女平等や生活の質の向上が強く打ち出されている。それを背景に政府主導で幼児教育・保育を強化する方向へと改革が展開され、幼児教育・保育カリキュラムが日本に先がけて2012年にまず5歳児から共通化されたこと、保育の無償化や子育て手当なども日本より早く取り入れられ2013年3月から0~5歳児の全所得層を対象に無償保育が実施されていることなどの特徴がある。半面、韓国の幼児教育・保育の弱みとして幼保の管轄が異なるいわゆる幼児教育・保育の2元化、営利目的事業者の割合の高さ、私塾(学院)にかかる教育費の負担の多さ、子どもの成果をモニタリング・評価するためのツール及びデータの欠如などが整理された。 ほかに文献調査から、韓国の専門大学における「専攻深化課程」を考察した。韓国においては、日本と同様に保育者養成の中心が2・3年制の専門大学から4年制大学へと移りつつあり「OECD国際幼児教育・保育従事者調査2018」の回答者において、日本の幼稚園、保育所、認定こども園に勤める保育者は4大卒以下が8割であったのに対し、韓国は約半数であり韓国の保育者は4大卒の占める割合が日本の2倍であった。韓国における高学歴志向は保育者養成にも表れており、保育者の学力の向上のため長期的には養成期間を4年とすることが望ましいという提言もされている。専攻深化課程修了者にとっては「学位」を取得することができ、保育者としての昇級も早まり、大学院進学も視野に入ることに利点がある。一方で保育者を養成する専門大学にとっても学生獲得という利点、及び4年制大学と同等の学位を授与できるため4年制大学と対抗できるという利点があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は韓国の①幼児教育・保育の現状および②保育者養成をめぐる状況を文献調査した。①は日本・韓国・中国の状況を比較し学会発表及び投稿論文に整理した。②は韓国の専門大学における専攻深化課程についての考察を日本高等教育学会にて発表した。そのほか2023年に実施するインタビュー調査に向けて韓国の研究者3名に予備インタビューを実施し質問項目を構成した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は韓国の保育者養成系高等教育機関へインタビュー調査を実施する。具体的には大学(4年制)・専門大学(2・3年制)の学部/学科の長を対象にオンラインによる30分程度の半構造化インタビュー調査を実施する。また、韓国の専門大学における専攻深化課程についての考察を論文にまとめ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用を想定していた「インタビューのテープ起こし」が2022年度に生じなかったこと、分析ソフトを2022年に購入しなかったため。それらは2023年度に申請する予定であり、繰越を希望する。
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