研究課題/領域番号 |
22K02745
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
井澤 信三 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50324950)
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研究分担者 |
岡村 章司 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00610346)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / カウンセリング / 相談支援 / 言語面接 / 青年・若者 / 行動理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)自閉スペクトラム症のある青年へのカウンセリング・プロセスにおける困難さの明確化、ASDの特性に応じた工夫点・配慮点に関する検討するために、これまで主に以下の3つの研究をすすめた。 研究1:「相談による支援」の理論的な枠組みに関する文献検討:国内外における「ASDのある青年等を対象としたカウンセリング」等に関する先行研究(学術雑誌、大学研究紀要、報告書等、学術図書など)を幅広く収集し、以下の5つの条件・内容、「対象青年のプロフィール(生育歴・教育歴、知的発達レベルや行動特性・特徴など)」「抱える問題の内容・種類」「相談による支援方法(カウンセリング的アプローチ及び問題解決的アプローチの具体的内容)」「プロセス(関係形成→問題分析→目標設定→目標行動支援→フィードバック・リフレクション)」「言語面接におけるASD対応の困難さ、それに対する工夫・配慮」について、現在、整理・分析中にある。 研究2:ASD青年への「相談による支援」に関する予備的なインタビュー調査:高等学校及び大学のキャンパスカウンセラー、発達障害者支援センター、就労移行支援事業所、就労・生活支援センター等の相談支援員をインタビュー対象とした。インタビュー本調査(2023年度)を行うための予備調査、特に、相談回数・相談時間、相談内容、相談方法、相談結果、さらに各立場からの相談による支援の現状と課題、ASD青年特有の面談の困難さとそれへの対応方法等について、試行的に3名に対して実施した。 研究3:ASD青年への「相談による支援」に関する事例研究:研究代表者及び研究分担者が個別的に実施している「ASD青年を対象とした相談による支援事例」について、当事者及び保護者への承諾を得た上で、「相談による支援(カウンセリング及び問題解決アプローチ)」の「言語面接」を文字化し、整理・分析するためのデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、主に以下の3つの研究を実施してきた。 研究1:「相談による支援」の理論的な枠組みに関する文献検討では、現在、整理・分析中にある。これまでまとめた「言語面接」における関連するデータについては、自著(井澤, 2022)に掲載している。また、その内容の一部は、2023年度の日本教育心理学会・自主シンポジウムで話題提供を予定している。さらに、完成したデータについては、学術雑誌に論文として投稿を予定している。 研究2:ASD青年への「相談による支援」に関する予備的なインタビュー調査については、試行的に3名(発達障害者支援センター相談支援員2名、及び職業カウンセラー1名)に対して実施することができた。2023年度に本調査を行う計画となっている。 研究3:ASD青年への「相談による支援」に関する事例研究:研究代表者及び研究分担者が個別的に実施している「ASD青年を対象とした相談による支援事例」について、当事者及び保護者への承諾を得た上で、「相談による支援(カウンセリング及び問題解決アプローチ)」の「言語面接」を文字化し、整理・分析するためのデータ収集を行った。現在、短期間での相談支援の言語データ2事例分が収集されている。いずれも短期的なカウンセリングであるため、長期・継続的なカウンセリング・プロセスにおける「言語面接」をデータ化していく。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、研究1-3を継続してすすめていく。 研究1:「相談による支援」の理論的な枠組みに関する文献検討では、現在、整理・分析中にある。本文献レビュー研究は本年度の完成を目指してすすめていく。なお、これまでまとめた内容の一部は、2023年度の日本教育心理学会・自主シンポジウムにて話題提供を予定している。さらに、その成果は学術雑誌に論文として投稿を予定している。 研究2:ASD青年への「相談による支援」に関する予備的なインタビュー調査については、試行的に3名(発達障害者支援センター相談支援員2名、及び職業カウンセラー1名)に対して実施することができた。2023年度に本調査を行う計画となっている。本調査では、8名程度のインタビュー対象者を予定しており、内容分析(content analysis)によるデータ整理を実施する。 研究3:ASD青年への「相談による支援」に関する事例研究:研究代表者及び研究分担者が個別的に実施している「ASD青年を対象とした相談による支援事例」について、当事者及び保護者への承諾を得た上で、「相談による支援(カウンセリング及び問題解決アプローチ)」の「言語面接」を文字化し、整理・分析するためのデータ収集を行った。現在、短期間での相談支援の言語データ2事例分が収集されている。今後、10事例に拡大し、さらに長期的なカウンセリングの経過における「言語面接」をデータ化し、継続して作業を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由として、学会参加に関する経費について、学会の実施がオンライン方式となり、少なくおさまったことがある。次年度は対面方式の学会開催となることが予定されており、研究成果発表及び情報収集をかねて、複数の学会への参加を計画している。
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