本研究では、トラウマに配慮した学校(Trauma Sensitive School:TSS)を日本に実装するための基盤として、小学校の教職員がTSSを学習するeラーニングプログラムを開発し、その有効性を検証することを目的としている。初年度は、トラウマの理解や対応に関する教職員の現状やニーズを調査する質問項目の作成やeラーニングプログラムの基礎的内容を抽出するために、学校現場の教員やTSSの専門家へのインタビュー、および文献研究を行った。 その結果、現場で対応が困難なケースの背景には、虐待、愛着、いじめなどのトラウマ関連の問題が影響を与えている可能性があると教員は認識しており、対応の必要性を感じているものの、子どもや家族への具体的な対応方法が理解されていないことが分かった。また、専門家へのインタビューでは、教職員への研修として、eラーニングと並行して、事例相談やグループワークなどの学習が効果的であること、また、二次的外傷性ストレスやバーンアウトを予防するための組織作りとして、スタッフ間のサポート体制の構築が指摘された。文献研究では、TSS研究が盛んに行われている北米のTSSプログラムや職員研修の効果測定の尺度の概観を行い、プログラムの基礎的内容や尺度においてもトラウマの理解およびその影響が共通項目として挙げられていることが明らかになった。今後、TSSを実装するときの初期段階として、トラウマの理解とその影響に関する職員研修を行いながら、研修を通じて教職員の凝集性を高めていく必要性が理解された。
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