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2022 年度 実施状況報告書

発達障害のある聴覚障害児の実態調査とスクリーニング方法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K02762
研究機関東京学芸大学

研究代表者

大鹿 綾  東京学芸大学, 教育学部, 講師 (10610917)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード聴覚障害 / 発達障害 / 発達性ディスレクシア
研究実績の概要

本研究は発達障害様困難のある聴覚障害児について、全国聾学校を対象とした実態調査を行うこと、発達性ディスレクシアを併せ有する聴覚障害児のスクリーニング方法を検討することを通して、聞こえにくさ以外にも学習面、行動面に著しい困難を持つ聴覚障害児の実態を明らかにするとともに、早期発見早期支援に繋げていくことを目的とするものである。研究1年目では、全国聾学校調査について106校に送付し現在集計中である。また、聴覚活用をしつつも音読に顕著な誤り、特に勝手読みの頻発する聴覚障害児童1名(聴覚特別支援学校在籍高学年男児)に対して継続介入の機会を得た。詳細な実態把握を行ったところ、語彙力の著しい低下、注意集中の軽い苦手さがあった。また、「音読・音韻処理能力簡易スクリーニング検査」では単語・非語・短文共に読み誤りや反応時間の延長が見られ、年齢基準値を下回るものであった。STRAW-Rでは、速読・音読・書き取りともに著しい苦手さが見られた。RAN課題や単語・非語の逆唱には遅れは見られなかった。また、非接触型視線分析を行ったところ、助詞や文末に視線の停留がほとんど見られず、注意を払えていないことも示された。読みの困難が生じる原因として、安藤(2014)は読みの際の「語彙ルート」と「非語彙ルート」のバランスの悪さを指摘している。本児は文字の表象から音を想起する「非語彙ルート」の活用に苦手さがあることが想定された。一方で「語彙ルート」を活用しようとするものの、聴覚障害の影響もあり理解語彙数が少なく、制限が生じるため、音や意味カテゴリーが類似している別の単語を「勝手読み」しているのではないかと示唆された。そこで、語彙を拡充するための効果的な支援方法を引き続き検討しているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全国調査について予定通り実施できた。また、事例検討については、事例を通して実態把握方法、支援方法について検討できた。

今後の研究の推進方策

2年目は返送された全国調査の集計、分析を行う。また事例への介入支援も継続する。さらに読み書き能力のスクリーニング方法の検討について着手する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Activities for Independent Living in School for the Deaf2022

    • 著者名/発表者名
      Aya Oshika
    • 雑誌名

      Journal of Special Education Research

      巻: 11(2) ページ: 94-53

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 中学校難聴通級指導教室に通う聴覚障害生徒の自己認識―通級や障害に対する意識調査―2022

    • 著者名/発表者名
      大鹿綾,三宅一広
    • 雑誌名

      東京学芸大学紀要総合教育科学系

      巻: 72 ページ: 314-326

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 聴覚障害児に対する日本語指導における配慮に関する研究―ICT教材の活用に関する意識調査を通じて―2022

    • 著者名/発表者名
      澤 隆史,大鹿 綾,村尾 愛美,相澤 宏充,林田 真志,新海 晃
    • 雑誌名

      東京学芸大学紀要総合教育科学系

      巻: 72 ページ: 275-285

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 視覚情報の違いが聴覚障害児の数量判断に及ぼす影響―偶発的状況における推論の観点から―2022

    • 著者名/発表者名
      澤 隆史,大鹿 綾,村尾 愛美
    • 雑誌名

      東京学芸大学教育実践研究支援センター紀要

      巻: 19 ページ: 109-114

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Inclusive education & d/Deaf and Hard of Hearing Students in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Aya Oshika
    • 学会等名
      University of Tsukuba Disability Sciences Program & The Ohio State University College of Education & Human Ecology International Mini-Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] ラウンドテーブルディスカッション「聴覚障害児の英語教育を考える-聴覚を活用する指導法の可能性を探る-」2022

    • 著者名/発表者名
      大鹿綾
    • 学会等名
      英語教育ユニバーサルデザイン研究学会第4回研究大会
  • [学会発表] 音韻意識の発達に遅れを示す聴覚障害幼児への介入指導2022

    • 著者名/発表者名
      大鹿綾,濵田豊彦
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第60回大会
  • [学会発表] 通常学校に在職する聴覚障害教員への音声認識アプリによる情報保障の試み2022

    • 著者名/発表者名
      石塚篤史,大鹿綾
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第60回大会
  • [学会発表] 聴覚特別支援学校における聴覚障害児同士の差別意識について―聴覚特別支援学校卒業生・教員に対する聞き取り調査から―2022

    • 著者名/発表者名
      大石鮎美,大鹿綾
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第60回大会
  • [学会発表] 聴覚障害児への日本語指導における配慮に関する研究―ICTの活用に向けた意識調査から―2022

    • 著者名/発表者名
      澤隆史,村尾愛美,大鹿綾,相澤宏充,林田真志,新海晃
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第60回大会
  • [学会発表] 発達障害のある聴覚障害児のオンラインにおける支援の実践―学習活動「ダンボ」での取り組みから―2022

    • 著者名/発表者名
      飯塚わかな,大鹿綾
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第60回大会
  • [学会発表] 難聴特別支援学級・通級指導教室担当教員の困り感に関する一研究2022

    • 著者名/発表者名
      飯塚わかな,喜屋武睦,渡部杏奈,大鹿綾
    • 学会等名
      第48回日本コミュニケーション障害学会学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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