研究課題
特別支援学校、通常の小中学校では喀痰吸引や経管栄養などの医行為(医療的ケア)を必要とする児童・生徒が増加している。このような児童・生徒が学校で安全に教育を受けるためには特別支援学校だけでなく通常の小・中学校の教員を目指す学生においても基本的な知識を持っていることが求められる。しかし今後も医療的ケアは高度化、複雑化することが予想され、教員養成課程の教員が最新の知見を含めた医療的ケアの教育を行うことは困難である。本研究では教員を目指す学生が医療的ケアに関する最新で必要最小限の知識を効率的に獲得するための教育カリキュラム、実施体制を構築することを目標としている。令和4年度には、文部科学省「学校における教職員によるたんの吸引等(特定の者対象)研修テキスト」の内容をもとに障害・疾病の理解、健康状態の把握、感染予防知識、呼吸の仕組み、嚥下の仕組みなど学生の背景知識の程度を調査するための質問紙を作成するため、少数の学生を対象に背景知識の程度を調査した。令和5年度には、教育委員会と連携して通常の小・中学校を対象とした医療的ケアガイドラインを作成し、現場での課題を整理した。その結果をもとに、質問紙の内容、難易度を調整し、倫理申請の準備を行っている。また、医療的ケアを必要とする児童・生徒の保護者へインタビュー調査を実施し、医療的ケアに関して学校や教員に求める体制や知識などの実態を把握した。
4: 遅れている
令和5年度には、学生に対する医療的ケアの背景知識の調査を実施する予定であったが、教育委員会と通常の小・中学校を対象とした医療的ケアガイドラインを作成すること、地域での医療的ケア指導医の体制整備を行うこととなり、状況の再整理が必要となった。
令和6年度は、以下を進めていく方針である。①学生に対する医療的ケアの背景知識の調査を文部科学省「学校における教職員によるたんの吸引等(特定の者対象)研修テキスト」の内容をもとに障害・疾病の理解、健康状態の把握、感染予防知識、呼吸の仕組み、嚥下の仕組みなど学生の背景知識の程度を調査する。②通常の小・中学校に在籍している医療的ケアを必要とする児童・生徒の担当教員に対するインタビュー調査を実際に医療的ケアを必要とする児童・生徒と関わった経験から、事前に必要な知識、技能に関して調査する。
インタビュー調査が予定通り実施できなかったため、謝金の使用がなかったこと、カリキュラムの作成が遅れているため補助教材、補助資料などの購入がなかったため未使用額が発生した。令和6年度以降、上記の実施に伴い使用する予定である。
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Asia Pac J Clin Nutr
巻: 33 ページ: 66-82
10.6133/apjcn.202401_33(1).0008
富山大学教育学部紀要
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