研究課題/領域番号 |
22K02768
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横山 佳奈 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 特任助教 (40910906)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 障害児保育 / 社会性の発達 / 関係発達 / 間主観性 |
研究実績の概要 |
本研究は,統合保育場面におけるASD児の社会性の発達的変化・変容に,保育者の間主観的介入が与える影響について明らかにすることを目的とした3年計画の研究である。 今年度の研究実施状況として,日本のA県内の私立保育園にて,社会的コミュニケーションの困難さをもつ5歳の対象児2名を対象に,計15回の観察を行った。主に,保育園での自由遊び場面または設定保育場面におけるASD児と保育者または同年代他児とのかかわり場面を対象とし,ビデオカメラを用いて観察しデータ収集を行った。 ビデオカメラで記録した映像データからフィールドノーツを作成した。フィールドノーツからエピソードを抽出し,ASD児の社会性の発達的変化・変容に,保育者の間主観的介入が与える影響について明らかにするために,保育士のASD児への介入に着目し分析を行った結果,設定保育場面における保育士からASD児への声かけは,まずは【全体への抽象的・暗黙の指示】を行い,対象児の様子をみて【個人への声かけや具体的な指示】をし,それでも対象児が指示に従えていないようであれば【個別に寄り添った声かけ】というように,対象児の理解の程度をみながら指示を段々と具体的,個別に行っていることが示された。今後は,観察データからより詳細な分析を行い,保育現場におけるASD児に対しての保育者の間主観的介入が行われる場面の詳細や介入の種類,それに伴うASD児の社会性の発達的変化について検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,社会的コミュニケーションの困難さをもつ5歳の対象児2名を対象に保育園での観察を実施し,保育場面におけるASD児の社会性の発達的変化・変容に,保育者の間主観的介入が与える影響についてのデータ収集を終えることができた。その一方で,データの整理や分析に十分な時間をかけることができず,学会発表および学術誌への投稿を行うことができなかった。そのため,全体的な研究計画の達成度は「やや遅れている」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は研究の最終年度となるため,収集したデータの整理と分析を進めていく。具体的には,観察記録をもとにASD児と保育士または同年代他児とのかかわり場面をエピソードとして抽出し,保育士が保育場面において行う間主観的介入のカテゴリーの作成や ASD児と他児とのかかわりにおける保育者の間主観的介入の媒介機能について検討する。また,これらの成果について学会発表や論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は,社会的コミュニケーションの困難さをもつ5歳の対象児2名を対象に保育園での観察を実施していたため,保育場面におけるASD児の社会性の発達的変化・変容に,保育者の間主観的介入が与える影響についてのデータ収集を終えることができた。その一方で,データの整理や分析に十分な時間をかけることができず,学会発表および学術誌への投稿を行うことができなかった。そのため,データの整理や分析のため博士後期課程学生に支払う人件費・謝金や,学会参加または論文投稿のためのその他支出が使用されず,次年度使用となっている。今年度は,データの整理や分析のため,博士後期課程学生を雇用し進めると共に,成果の学会発表または論文投稿を進めていく予定である。
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