研究課題/領域番号 |
22K02775
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
竹村 洋子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 主任研究員 (10586415)
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研究分担者 |
笹森 洋樹 常葉大学, 教育学部, 教授 (40419940)
井上 秀和 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 総括研究員 (60846608)
滑川 典宏 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 総括研究員 (80804509)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 通常の学級 / 通級指導教室 / 通級による指導 / 通常級担任と通級担当の連携 / 発達障害 / 自立活動 |
研究実績の概要 |
本研究では、通常の学級担任と通級による指導担当の連携による個別の指導計画の効果的な作成・活用の方策を明らかにし、通常の学級における発達障害のある児童生徒への教育的対応の充実の一助とすることを目的としている。 2年目である令和5年度は、1、2に示す通り二つの質問紙調査の結果の分析を進めた。その結果や先行研究を踏まえて学校への訪問調査の計画を具体化し、「通常の学級と発達障害等を対象とした通級による指導の連携に関する訪問調査」として、通常の学級担任、通級による指導担当を対象としたインタビュー調査に着手した。 1.前年度に実施した「通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒への指導・支援:通級指導教室との連携に関する調査」(質問紙調査)の結果について分析を進めた。172校(小学校116校、中学校56校)の通常の学級担任429名、通級担当317名による、指導の成果がみられた事例についての回答から、年度当初に課題となった学級での様子で改善がみられたもの、学級での対応、自立活動の内容などについて分析し、結果の一部について次年度の日本特殊教育学会にて発表予定で準備を行った。 2.コロナ禍において期間延長した研究課題「通常学級担任教師と他者との連携に関する研究」の一環で実施した「通常の学級における特別な支援を要する児童生徒への支援と連携に関する調査」(質問紙調査)の結果も課題の連続性を鑑みて、前年度に継続して分析を進めた。その結果からは、教師が児童生徒とのかかわりに問題を感じた時の対処方略が小学校と中学校で若干異なること、小中学校ともに、指導・支援が積み重ねられることと教師が自分自身で積極的に対応するなどの問題解決的な対応をとる傾向に関連があること、保護者との共通理解や家庭の状況と「問題性評価」(竹村,2008)の状態に関連があることなどが窺われた(日本学校心理学会第25回大会にて報告した)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目である令和5年度は、前年度に実施した通常の学級担任、通級担当を対象とした質問紙調査の結果について分析を進めるとともに、令和3年度に実施した質問紙調査の結果の分析も継続して行った。これらの結果や先行研究を踏まえ、通常の学級担任と通級による指導担当の連携に関するインタビュー調査について、計画を具体化して着手することができた。 以上のことから、進捗状況について上記の通り判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は令和5年度に着手した「通常の学級と発達障害等を対象とした通級による指導の連携に関する訪問調査」を進め、通常の学級における発達障害のある児童生徒への支援、通常の学級担任と通級による指導担当の連携や個別の指導計画の作成・活用について、具体的な事例から効果的な取組や課題、課題解決の工夫などの情報を得る。令和4年度に実施した質問紙調査の結果などと合わせて考察し、通常の学級担任と通級による指導担当の連携による、個別の指導計画の効果的な作成・活用の方策を明らかにすることにつなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度において、研究代表者は基盤研究(C)研究課題として、本課題と「通常学級担任教師と他者との連携に関する研究」(最終年度、コロナ禍における期間延長による)の二つを遂行することとなり、両課題の連続性と事業期間(見込み)を鑑みて直接経費同士を合算することととした。令和5年度は、二つの課題で各々行った質問紙調査の結果について分析を進め、本課題で実施予定であったインタビュー調査は着手するにとどめることとした。そのため、本課題において次年度使用額が生じた。次年度使用額について、インタビュー調査を含む学校への訪問調査の本格的な実施により、旅費等が多く発生する見込みである。
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