研究実績の概要 |
【研究概要】医療AI技術の臨床利用においては,診断精度はモデル構築時の学習用データの質と量に強く依存し,データセットに含まれる症例によって異なる診断結果が導かれる上,診断過程もブラックボックス化されていること,またAIによる治療患者選定には倫理的課題の発生も考慮する必要がある。このことからAIユーザとなる全ての医療スペシャリストには医療AI技術の特性を理解し,AI診断プロセスを論理的思考でもって既知の医学的知見と照らし合わせ可視化させ,AI診断結果を検証するスキルが必要となる。そこで本研究は, 次世代AI医療に対応した診断スペシャリスト教育プログラムの確立を目的として,医療AIの運用課題を踏まえ,AI技術スキルとAI診断論理的検証スキルを兼ね備えた医療者養成のためのProject Based Learning(PBL)型AI教育手法の研究を行った。 【研究実績】本年度は「医療AI診断技術と医療AIシステム特性評価教育プログラムの開発」と「医療AI診断における可視化技術と論理的検証スキル教育プログラムの開発」を実施した。「医療AI診断技術と医療AIシステム特性評価教育プログラムの開発」においては医療AI教育用教材として、健常人および血球形態異常を示した患者末梢血塗抹標本200例を収集し、AI学習と検証に使用する顕微鏡画像5万枚の撮影を行った。また診断スペシャリスト向けAI教育を行うためAI基礎技術の体系的学習プログラムのコンテンツ開発を行った。一方、「医療AI診断における可視化技術と論理的検証スキル教育プログラムの開発」においては血球顕微鏡画像を用いて血球分類用AIモデルを作成し、検証画像に対してExplainable AI技術を用いた可視化を行い、分類不一致画像に対する検証方法についての学習用プログラムを開発した。
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