研究課題
本年度はAIによる細胞培養技術評価の指導システムの構築を行なった。前年度に検討した結果、非同期型動画評価ツール「tsucom」を用いて、受講者が撮影した培養作業動画を評価することとした。このシステムの特徴はアップロードした動画に対して、注意をすべき操作を行なったタイミングに指導者が音声指導と文字入力を用いて指導を行うことができる点である。基本的に受講者は指導が入った作業動画を後日確認することになるが、受講者とオンラインでつながりながら指導者が指導を行うライブ形式も可能である。さらに培養作業動画の撮影方法として、本研究で提唱している俯瞰画像に加えて、作業者の目線である正面からの画像を 360°カメラで撮影した。この正面画像と俯瞰画像を2画面並べて評価することで、指導者は主観的な作業者の目線を確認しながら客観的な評価を下すことが可能となった。現在、この2視点からの作業動画と指導者による指摘事項をAI学習させ、自動的に問題操作を抽出することができるAI評価システムを構築している。具体的には作業動画における安全キャビネット内の培養作業ツールをAIに認識させ、その位置情報と評価者の指摘事項情報をもとに問題操作を学習する作業を行なっている。また、より精密な認識・評価が可能なAI学習を行うため、作業の区切りごとに細かく確認しAIが期待通りの学習をしているか確認している。今後はAI学習を継続するとともに、AIの認識が正しいかについて確認を進める方針である。
2: おおむね順調に進展している
予備的な検討の結果、研究開始当初に予定していたZoom等を用いた双方向ライブ配信による指導システムに問題があることが判明した。そのため、非同期型動画評価ツー ル「tsucom」を用いて、受講者が撮影した培養作業動画を事後に評価することとした。その結果、本研究で提唱する俯瞰動画を用いた作業評価と技術教育の社会 実装という点では研究計画の進捗が遅れていることになる。一方、培養技術指導に非同期型動画評価ツールを用いることで、2視点からの作業動画と指導者によ る指摘事項を連動させて記録することが可能になったため、培養技術評価をAI学習させることが可能になった。これらを総合的に判断すると、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
今後の研究方針として非同期型動画評価ツール「tsucom」を用いて、受講者が撮影した培養作業動画のAIによる評価を進める。具体的には2視点からの作業動画と指導者による指摘事項をAI学習させ、自動的に問題操作を抽出することができるAI評価システムの構築を進める。AIが期待通りの学習をしているかどうかについては、作業の区切りごとに細かく確認し、より精密な認識・評価が可能なAI学習を行うとともに、可能な限り多くの細胞培養作業動画を撮影して本システムの有用性の確認を進める計画である。
当該年度に配分された直接経費はほぼ全額を適正に執行したが、5万円程度の残金が生じたため無駄をせず次年度へ繰り越すこととした。次年度も適切な研究経費使用を心がける方針である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
BIO Clinica
巻: 39 ページ: 49-51
In Vitro Cellular & Developmental Biology - Animal
巻: - ページ: -
10.1007/s11626-024-00863-w
巻: 38 ページ: 56-59