研究課題/領域番号 |
22K02852
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研究機関 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
研究代表者 |
森口 肇 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 助教 (60769826)
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研究分担者 |
小林 浩昭 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (40770285)
市川 修 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (80302941)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教材開発 / 空気圧制御 / オンライン実習 / 遠隔操作 / 職業訓練 |
研究実績の概要 |
職業訓練における実験・実習は,一般的に対面形式で実施している。この実習をオンライン化し、技能・技術を習得させることは容易ではない。しかし、近年のように対面形式の実習が困難な状況でかつオンライン化ができない場合、教育訓練の機会を逸失し、技術者育成に支障をきたす恐れがある。実習をオンライン形式で実現できれば、教育訓練の機会をより多く提供することができ、効率的な技術者育成が期待できる。職業訓練における空気圧制御技術者育成においても同様である。本研究では、職業訓練における空気圧制御に関するオンライン実習の実現を目的として、空気圧制御に関するオンライン実習の教育方法を検討・提案するとともに、オンデマンドコンテンツの制作、空気圧回路製作実習教材の開発に取り組み、提案した教育手法を用いたオンライン実習を職業訓練に展開して、教育訓練効果を検証する。 2022年度は、オンライン実習システムの開発にあたって、空気圧機器の遠隔操作に必要な制御信号の生成方法および伝達方法、安価でシンプルな実験・実習環境を構築する方法などを検討するとともに、安定したオンライン実習の実現に適した通信方式を検討し、システム構成を決定した。具体的には、Web会議システムと組み合わせることを前提とした上で、オンライン実習における空気圧機器の遠隔操作をシングルボードコンピュータを用いて実現することを提案し、空気圧回路製作実習教材を試作した。提案した教育手法を用いたオンライン実習実施の可能性を検討するため、エアシリンダの遠隔操作実験を行った。タイムラグはあるもののエアシリンダは問題なく動作し、実習を進める上での影響が少ないことが確認でき、オンライン実習が実施可能であることを示した。また、空気圧制御の基礎に関する学習コンテンツを試作して職業訓練に展開した結果、短期間の習得度向上に寄与することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン実習システムの検討・提案にあたって、あらかじめ空気圧機器の遠隔操作方法と各遠隔操作方法における長所・短所を整理するとともに、既存のネットワークシステムを活用する実習環境構築の目処が立ったことから、早期に空気圧機器の遠隔操作方法を提案することができた。これに伴い、試作システムの設計・製作と空気圧回路製作実習教材開発の時間が十分確保でき、試作した教材を用いたエアシリンダの遠隔操作、2本エアシリンダ遠隔操作、エアシリンダの遠隔位置決め制御に関する実験とそれらの結果を検証し、オンライン実習が実施可能であることを当初の予定より前倒しで示した。また、学習コンテンツを試作し、職業能力開発総合大学校総合課程2年生の授業に講義と併用する形で展開するとともに、教育訓練効果を検証し、空気圧の基礎に関する知識の短期間での習熟度向上に寄与することを確認した。2022年度は、空気圧制御に関するオンライン実習用遠隔操作システムの開発に関する研究成果を1件学会発表した。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、空気圧回路製作実習教材を完成させるとともに、実際にネットワークを介した遠隔制御実験を行った上で特性やコストを評価し、オンライン実習で使用する教材としての有用性を検証する。また、2022年度に試作した学習コンテンツの教育訓練効果に関する検証結果を踏まえ、空気圧制御に関する技術要素に係る技能・技術・知識の習得に主眼を置いたコンテンツと空気圧制御分野の技能伝承に主眼を置いたコンテンツを制作するとともに、オンデマンドで学習可能な環境を構築する。あわせて、受講者が自身で学習効果が確認できるよう、習得度確認コンテンツを制作する。コンテンツ制作後、職業訓練指導員およびその候補者、生産技術者などを対象としてレビューを実施し、ユーザビリティやコンテンツは分かりやすいかなどの観点から職業訓練に展開可能であることを確認する。さらに、職業訓練における空気圧制御に関するオンライン実習の2024年度開始に向けた教育カリキュラムの再構築、実習実施に必要な環境整備、機器等準備を推進する。本研究で得られた研究成果は、学会発表、論文投稿を通して公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会講演等のオンライン開催の浸透により、当初計画と比較して旅費や学会参加費が大幅に削減されたこと、物品費においては、空気圧機器の遠隔操作システム開発にかかる環境整備の経費が当初の見込みより大幅に削減されたことが次年度使用額が生じた主な理由である。 2023年度においては、旅費、参加費を伴う学会への参加や論文の投稿を予定している。また、空気圧回路製作実習教材を構成する機器の購入、オンデマンドコンテンツを公開するためのサーバの整備、Web会議システムとそれに付随する機器の購入を予定している。そのため、研究の遂行にあたって、当初計画と比較して多くの経費がかかることを見込んでおり、次年度使用額を充填する予定である。
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