研究課題/領域番号 |
22K02880
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研究機関 | 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 |
研究代表者 |
渋井 進 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (60415924)
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研究分担者 |
坂口 菊恵 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (40588232)
市村 賢士郎 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (50824926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 評価疲れ / 大学評価 / 内容分析 / ヒアリング調査 / 非言語情報 |
研究実績の概要 |
4年計画の初年度である本年度では、以下に示す3つの研究を行った。 1.事前調査;「評価疲れ」への関連が想定される3つの要因について、最新の研究状況に基づいた理論的な検討および、ヒアリング調査の事前知識としての情報収集を、WEBページ、関連学会、論文・図書等で行った。 2.過去に実施されたアンケート自由記述の分析;評価機関が実施した評価者及び大学を対象とした評価の検証を目的としたアンケートの自由記述欄から、「評価疲れ」に関する記載を抽出して内容分析を行った。対象とするデータは、大学改革支援・学位授与機構が6年置きに3回に渡り全国立大学に対して行って来た国立大学法人評価の検証アンケートおよび、3巡目を迎えた大学機関別認証評価のデータを対象とした。 3.ヒアリング調査;「評価疲れ」の測定尺度を具体化するために、2.アンケート調査において特徴的な回答を示した5大学に協力を依頼し、「評価疲れ」に関わる諸問題について大学を訪問し、半構造化面接法によるヒアリング調査を行った。その結果、「評価疲れ」の背景には影響の大きいものから順に、「評価制度への不信感」、「評価目的の不透明感」、「評価作業への負担感」3つの要因があることがわかった。「評価目的の不透明感」は予算配分との関係で言及されることが多く、大学や評価機関の努力では改善が難しい部分があり、「評価作業への負担感」は、通り指標やエビデンスを明確化して設定することや、評価書等の提出を支援するシステムを改善することで改善可能と考察できた。一方で、「評価制度への不信感」をいかに軽減していくかを、心理的な側面から検討していく必要性が示唆された。 また、非言語情報から「評価疲れ」の測定にも着目し、面接評価状況を模した実験の結果から顔の動作解析と評価結果の関係についての分析を行い、「評価疲れ」の指標としての顔表情の可能性について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に示した内容に従って、「評価疲れ」尺度の作成へ向けて初年度に予定していた、事前調査、アンケート分析、ヒアリング調査を全て終了した。また、非言語情報からの「評価疲れ」に関する研究も追加して行った。これらの研究成果は、学会発表、論文等にて公表も行ったことから、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には、「評価制度への不信感」、「評価目的の不透明感」、「評価作業への負担感」3つの要因を仮定した「評価疲れ」測定尺度の作成と、検証のための調査を予定している。調査対象は、一般企業等に属する評価に関する経験を持つ人物1000名程度でプロトタイプの作成を行ったのち、大学関係者200名程度を対象として精緻化を行う。 令和6年度には、大学関係者を対象とした、試行的ワークショップと研究会の実施、研究会の結果を踏まえて、「評価疲れ」測定尺度の改訂とケース別の軽減へ向けた教材等の作成を予定している。 令和7年度には、前年度に研究会委員から得られた知見に基づき、改訂された「評価疲れ」尺度をもとに、「評価疲れ」の診断と軽減へ向けた提案をフィードバックとして与えることが可能なWEBサイトの作成を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
PC、分析ソフトウェア等は現有設備を使用することで、経費の削減が可能となった。また、旅費についてはオンライン会議等を行うことで経費の削減がなされた。 来年度以降は、新型コロナウイルス感染症が5類化することに伴う、対面での調査、学会発表等の機会が増加することから、旅費について本年度削減分を有効に活用する予定である。また、PC等も老朽化したことから、新たな設備を導入することを予定している。
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