研究課題/領域番号 |
22K02901
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小柳 和喜雄 関西大学, 総合情報学部, 教授 (00225591)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 1人1台環境 / アセスメント / 教育データ利活用 / 教員研修 / 教員養成 / 教師教育者 |
研究実績の概要 |
本研究は、GIGAスクール環境下で、学習指導と学習評価を一体的に行うために、効果的にデータの利活用を行い、教員のICT活用指導力の育成を行っている事例を対象とし、運用評価を行い、教師、およびその指導や支援に関わる教師教育者の専門性や専門的力量を再考する枠組みを明らかにすることを目的としている。 1年目は、研究計画として考えていた次の2つを遂行した。1) Covid-19以降のTPACK研究(教師の技術に関する教育学的内容知識)、およびCovid-19以降のTeacher Educatorの専門性に関する研究の2つについて、国際的研究の動向をレビューした。2)1人1台環境を用いた学習指導と学習評価の連動(データ利活用等)に関する研修内容と方法について、大学の講義を対象に予備調査を行った。 結果として、1)TPACK研究(教師の技術に関する教育学的内容知識)は、Technology IntegrationからTechnology Infusionへ、その見方や考え方を変える研究が増えてきていること。そして教員養成では、教師教育者の指導法にICT活用が生かされ、その意味や方法を学生に伝えようとする研究が増えたことに加えて、教員養成のカリキュラム全体をTechnology Infusionから再構成しようとする研究が増えてきていることが明らかになった。しかし教師の専門知識として教育データ利活用に言及する研究は、内容的に、Covid-19前後でそれほど大きな変化が見出されなかった。2)に関しては、1人1台環境下にある大学の講義内で、考えの表出やコミュニケーション過程と課題設定の関係を分析し、教員研修に活かせる知見を探索した。テキストマイニングを用いて、講義内で参加者が考えている全体傾向を視覚化することは、個々の考えの位置づけを明確にする上で意味を持つことが学生の回答から明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的な研究のレビューが順調に進み、また国内外の学会大会への対面参加もできるようになってきたことから、本研究と関わる様々な背景情報などを、国内外の研究者から得やすくなったため。また大学の講義を対象にした調査研究も、対面講義で学生に協力を得ながら進めやすくなり、教員研修に活かせる情報収集ができるようになってきたため。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、1年目の研究知見を活かし、小中一貫教育について共同研究を進めてきた2つの自治体と、教育データ利活用に関する研修について実践研究を行う。 市の集合研修で行うデータ利活用の研修が、校内研修とどのように連携できるか、各中学校区の研修内容と方法の特徴を質問調査(Form)と抽出訪問調査により明らかにする。市の対面の集合研修、オンライン研修、学校での対面研修、中学校区での対面及びオンライン研修の進め方、内容について効果的に進んでいる事例を分析評価する。 また引き続き国際的な研究動向の調査と、学会参加、研究発表を積極的に進め、情報の収集と交流を行う。 そして、得られた情報と明らかになった知見から、教員研修や教員養成におけるデータ利活用プログラムの開発に向けた試行調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、本研究成果について海外の学会で研究発表を予定していたが、その知見を発表する学会大会で、別の科学研究費での研究成果の発表が、最終年度でもあったため、そちらを優先的に発表することにした。そのため、2023年度にその予算を残し、成果を2023年度に入ってから発表することにした。
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