研究実績の概要 |
本研究の目的は、動画を利用した第二言語学習においてジェスチャーが果たす促進効果を、動画教材中の教師と受講者の両観点から検討することにある。本研究は、2022年度において、ジェスチャーの学習における有効性を検証する第一段階として、いかなる身体動作が、学習の根本となるワーキングメモリをより活性化するのかを検証した。 これまでの先行研究は、身体運動がワーキングメモリや学習パフォーマンスを向上させる可能性を示唆しているが、ワーキングメモリに好影響を与える身体運動の種類は検討されていない(e.g., 喜屋武・高倉, 2019; Mullender-Wijnsma et al., 2015)。そこで本研究では、運動なしの安静(安静)、手の運動を行うタッピング(タッピング)、椅子に座った状態で上半身のみで行う運動(上半身運動)、全身運動と段差の昇降(ステッピング)という異なる種類の運動がワーキングメモリに及ぼす影響を、ワーキングメモリを測定するために広く使用されているリーディング・スパン・テスト(Reading Span Test: RST, 苧阪, 2002)を用いて検討した。 実験では、休息条件よりも有意にワーキングメモリを改善する運動条件は確認されなかったが、ワーキングメモリの負荷が相対的に高い条件では、上半身運動条件とタッピング条件が休息条件よりも、ワーキングメモリを改善する傾向を示した。 この研究成果をまとめたものは、2023年8月に開催される国際会議「SARMAC XIV 2023(Society for Applied Research in Memory and Cognition)」に採択されており、当該の会議で報告予定である。
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