研究課題/領域番号 |
22K02926
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
山西 輝也 大阪成蹊大学, データサイエンス学部, 教授 (50298387)
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研究分担者 |
大熊 一正 岡山理科大学, 基盤教育センター, 教授 (80367507)
杉原 一臣 福井工業大学, 環境情報学部, 教授 (90367508)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 情報教育 / プログラム学習 / 脳波 / ビジュアル型言語 / 認知と学習 |
研究実績の概要 |
我が国においてはITやAI技術者の育成が重要な国家戦略となっているが,初学者に「プログラミング的思考」をどう習得させるかでは,国内外で多くの議論がある。プログラミングに対する脳の働きを考えてみると,課題解決への論理的思考力やコンピュータ言語による表現力,そして変数を使った数式,計算力など脳領野全域にわたる活動が推察される。従って,このような広範な脳領域にわたる脳機能を賦活する学習においては,神経生理学の知見からの脳情報の分析が必要と考える。そこで,教育工学の分野に神経生理学を基盤とした脳領野間のネットワーク分析を応用し,初学者に適応するコンピュータ言語の判別手法の開発を試みている。 本研究課題の脳波を計測しプログラム言語の適応型分類を行うにあたり,プログラム学習におけるプログラム言語の「ビジュアル型」と「テキスト型」における脳波計測を実施し,これらの特徴量と被験者尺度から初学者に対する客観的なプログラム言語の適応型について定量的指標を求める。今年度は 1. 問題出題方法の統一とプログラム難易度の測定を定めた,2. 先行実験として,被験者2名でプログラミングでの脳波測定と脳波分析(スペクトラム解析)を行った。ただ,脳波計測では側頭部の電極が眼鏡と干渉し測定できないことが分かった。今後は眼鏡などで側頭部と干渉しない電極での脳波を使い同期に係るネットワーク分析や時系列分析からプログラミング中の脳波によってプログラム言語の型,「ビジュアル型」と「テキスト型」,の適応度に関する特徴量抽出を試みる。そしてサンプルサイズを十分満たすデータの収集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の研究計画は健康な大学生を被験者として,プログラミング初学者とプログラミング習熟者 (基本情報技術者試験合格者など) で,プログラミングをしてもらい脳波計測をすることであった。そこで,まずは先行実験として2名でプログラミング中の脳波計測を行ったが,問題提示において解答の定量的な評価方法についての認識が不十分であったことが分かった。このため,プログラミングの難易度の国際的な定量評価についての議論と作業に時間を掛けている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実施に引き続き,プログラミング学習者に対する脳情報からの学習評価と2つの型の言語適応性の相関を測定する。そこで, 1. 「ビジュアル型」と「テキスト型」のそれぞれのコンピュータ言語のビデオ教材を見てプログラミング課題に取り組ませ,脳波計で計測。 2. 同じ被験者に対し安静閉眼時の脳波計測から脳の基底状態とみなし脳波データの収集。 3. S-A創造性テストと学習適正検定を実施。 からのデータ収集と脳波の特徴量抽出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
先行実験を行った結果,問題提示に対してプログラミング難易度の国際的な定量評価に関する点で議論と作業に時間を割かれた。また,人を研究対象とした倫理審査の申請で精査を重ねたため本実験に進めなかった。そのため,本実験での被験者への謝金を繰り越した。
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