研究課題/領域番号 |
22K02929
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
布江田 友理 森ノ宮医療大学, 医療技術学部, 准教授 (00643298)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 拡張現実 / 画像処理技術 / メガネ型ウェアラブルデバイス / 医療機器点検 / 医療従事者養成 / 教育コンテンツ / 医療安全 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、拡張現実(Augmented Reality; AR)と画像処理技術を用いて、医療従事者を目指す学生が臨床現場を体感的に学習でき、技術、知識の習熟を促すことである。本研究では、AR技術を用いてメガネ型ウェアラブルデバイス上に表示しながら同時に機器操作を模倣できるシステム開発を行う。 医療従事者養成校では臨床実習に向けて学内で生命維持管理装置を操作し、臨床現場を模擬しながら、指導を行う。文章化した操作手順書は学生には理解・想像し難く、教員の指導が不可欠である。研究初年度の2022年度は、教育コンテンツの作成に重点をおいた。医用機器安全管理学実習に使用する電気手術器の構成と取扱説明書を確認しながら、機器点検のための手順書と動画の作成を実施した。動画は、工程動作時間の確認と注意点を文字で挿入し、メガネ型ウェアラブルデバイスに表示した。 動画収録時間は約20分、動画編集時間は約360分、完成動画時間は約14分であった。被験者5名に対して、スマートフォンとメガネ型ウェアラブル端末で視聴し、デバイス評価を行った。使用感を5段階評価で行い、スマートフォンは3.25点、メガネ型ウェアラブルデバイスは4.25点であり、両方で良好な動画視聴が可能であった。20代のスマートフォンの所有率は高く、動画視聴操作に慣れているが、メガネ型ウェアラブル端末は操作方法に事前説明が必要であった。しかし、メガネ型ウェアラブル端末は大きな視線変更がなく、実機操作ができるため、誤操作を防ぐ可能性があった。この結果について、第33回日本臨床工学会等にて、研究協力者が報告する。 医療機器の点検作業は、医療安全にとって重要である。また点検作業の間違いの削減、点検作業時間の短縮も期待できるため、ARを用いた実習で医療従事者を目指す学生の技能を高めることによって、さらに点検技術の向上と統一化を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度においては、教育コンテンツの作成に重点をおいた。医用機器安全管理学実習で行う電気手術器の点検作業動画作成が実施でき、メガネ型ウェアラブルデバイス上に表示し、使用効果の評価が可能であった。その他の機器の撮影、動画編集ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
構築した教育コンテンツをさらに他の医用機器に活用し、点検作業動画を追加していく。次に、視線評価と脳血流量の定量化から、学生の注意力の評価を行い、学生の習熟度に対する判定ルーブリック表を作成する。判定結果を基に、実技指導を行い、技術向上を促す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により、研究協力者の稼働時間の制限や撮影時間の調整によって、動画処理を行うパソコンやカメラは個人所有物で行うこととなった。また、学会がオンライン開催であり、旅費が不要であった。 令和5年計画に、撮影ができていない「医用機器安全管理学実習」および「生体機能装置実習」で使用する医用機器の動画作成を追加する。その際に、使用するパソコン、動画編集ソフトとSDカード購入を行う。
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