研究課題/領域番号 |
22K02934
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 徹哉 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40583745)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生体情報 / 眼球運動 / まばたき / 脳波 / 脈動波形 / 認知機能 / 教育工学 / ICT技術応用 |
研究実績の概要 |
本研究は、ICT技術を教育に活かすための実践実験プラットフォームの開発を目標として、学習効果を高める仮説/目論見の立案、検証ツールの試作、実際に被験者を対象とした実践実験と実験結果の分析を行い、仮説/目論見の検証とブラッシュアップを繰り返しながら推進しているが、特に本補助事業期間においては『空間・周波数・数量的聴覚認知トレーニング』を提供するとともに、そのトレーニング取り組み中の被験者の脳波、脈波(脈動波形)の測定に加えて、新たに『眼球運動、まばたき』の測定も可能とし、認知機能の衰えとの相関が指摘されている聴覚認知機能の効果的なトレーニングを実現することを目標に取り組んでいる。
その初年度である2022年度は、被験者の生体情報として、これまでにも測定してきた脳波、脈波に加えて、新たに眼鏡型眼電位センサ(J!NS MEME 2ndGeneration)を用いて上下左右方向への眼球運動と、まばたきの速度・強度をリアルタイムに測定し、被験者からの回答情報(回答に要した時間と正誤情報)と併せて種々のデータ分析を行うことができる実験装置を立ち上げた。
具体的には、これまでに開発を進めてきた小型Android端末で動作する英単語学習アプリを活かして簡単な認知機能テストアプリを開発し、その取り組み中のボタンタッチによる回答情報に加えて、脳波、脈波、眼球運動、まばたきの情報をリアルタイムで測定・記録できる実験プラットフォームを作成して、実際に5名の高齢者を被験者として実践実験を行うところまで達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本補助事業期間初年度(2022年度)の本研究の目標は、これまでに開発を進めてきた小型Android端末で動作する英単語学習アプリを活かして新たに認知機能トレーニングを行えるアプリの開発を開始するとともに、これまでの脳波センサー、脈波(脈動波形)センサーに加えて、新たに眼鏡型眼電位センサを用いて、上下左右方向への眼球運動と、まばたきの速度・強度をリアルタイムに測定し、被験者からの回答情報(回答に要した時間と正誤情報)と併せて種々のデータ分析を行うことができる実験プラットフォームを立ち上げることであったが、実験装置としては初期の立ち上げを完了し実践実験を開始することができた。
具体的には、これまでの脳波センサー(Neurosky社製MindwaveMobile)、脈波(脈動波形)センサー(KonicaMinolta社製パルスオキシメータSR-700bs)に加えて、新たに眼鏡型眼電位センサ(J!NS社製MEME 2ndGeneration)を、従来から用いてきた小型Android端末にBluetoothで接続し、リアルタイムで測定・記録できるようにするとともに、従来の英単語学習アプリに代えて、新たに認知機能をクイズ形式で測定・トレーニングできる実験装置として開発した。
新たに測定・記録した眼球運動・まばたきのデータは、これまでの脳波、脈波のデータと同時に、統合的に分析可能な実践実験プラットフォームとすることができたため、初年度の進捗状況としては概ね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、初年度に立ち上げた実践実験プラットフォームを引き続き使用して、被験者(高齢者)の認知機能トレーニング取り組み時の回答情報、脳波・脈波の情報に加え、新たな生態情報として眼球脈動、まばたきについても統合的な分析を被験者数も増やして実施する。
初年度は、まずは新たに認知機能トレーニング時の生態情報を回答情報とともにリアルタイムに測定・記録するプラットフォームとして立ち上げることを優先したため、認知機能は、本研究の狙いである聴覚認知機能ではなく、簡易的な認知クイズとして漢字の間違い探しを実装して実験を行ったため、2年目である今年度は、新たに本研究の主目的である聴覚認知機能の測定・トレーニングを目指して、音の空間定位の認知、音の周波数(音程)の認知等の測定が行えるアプリを開発することを目標として推進する。
加えて、初年度にJ!NS MEME 2ndGenerationを用いた上下左右の眼球運動、まばたきの強度、速度についても、脳波、脈波と同時に測定が可能となるところまで立ち上げた実践実験プラットフォームを用いて、今年度新たに開発する聴覚認知機能の測定・トレーニングアプリに取り組み中の被験者の脳波、脈波、眼球運動、まばたき等の生態情報をリアルタイムで測定・記録し、回答情報と併せて統合的な分析を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
先ず物品費については、被験者の脳波、脈波、眼球運動、まばたき等の生体情報データと、被験者の回答情報の測定記録を行うサーバーとなるコンピュータを購入し、研究室内に立ち上げることで効率的な実践実験データ収集を意図していたが、初年度は測定装置としての立ち上げとデータ分析開始を優先したためサーバーとして用いるためのコンピュータの購入が後回しになってしまった。今年度は今後の研究の推進方策でも述べた通り、聴覚認知機能の測定・トレーニングアプリを開発して、被験者数も増やして本格的な実践実験によるデータ収集を加速させるため、当初からの今年度計画分と合わせて購入する予定である。 旅費については学会発表を通じて多くの研究者と議論を深めることを目的とした支出を計画しているが、2022年度はコロナ禍のため実地での出張を伴う学会参加はできなかったため支出がなかった。 今年度はコロナ禍も一段落したため、実践実験を加速するとともに、その結果として得られたデータや知見を学会発表を通じて共有することで社会に貢献し、また議論を深めることで今後の研究に繋げることは重要であるので、必ず学会発表を行って費用を支出させていただく予定である。
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備考 |
神戸高専教員紹介(電気工学科)佐藤徹哉 http://www.kobe-kosen.ac.jp/department/staff/denki/tesato.html
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