研究課題/領域番号 |
22K02937
|
研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
橋本 貴充 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (20399489)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ヒューマン・エラー / スリップ / マークシート |
研究実績の概要 |
本研究は、人間の「うっかりミス」の実態と発生メカニズムを、現実に存在する大量データに基づき定量的に解明することを目的としている。具体的には、毎年50万人が受験し300万枚の答案が作成される、大学入試センター試験(以下、「センター試験」とする。)および大学入学共通テスト(以下、「共通テスト」とする。)のマークシートにおける、マークの塗り誤りを対象として分析を行っている。センター試験の受験番号欄のマーク誤りについては、2009年に分析例(データは2004年度から2007年度)があり、2007年度に行った受験番号欄の改良により、マーク誤りが半減したことが報告されている。大学入試センターの実施する大学入学のための共通試験は、2021年から共通テストとなったため、センター試験と共通テストで、受験番号欄のマーク誤りに変化はあったのか、また2007年度と比較して変化はあったのかを調べた。具体的には、2019、2020年度のセンター試験と、2021、2022年度の共通テストの答案を用いて、受験番号欄のマーク誤りの実態を調べた。その結果、受験番号欄のマーク誤りの発生率は約0.11%(約4千件)で、センター試験と共通テストで大きく変わらず、その水準は2007年度の受験番号欄改良時とも同程度であった。この結果は、2022年度日本分類学会シンポジウムにて発表された。現時点では、分析対象が一部の年度でしかなく、また、マーク誤りの類型化なども行われていない。2022年度の発表時に得られたコメントにもとづき、今後、対象を拡大し、分析内容も詳細にしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では2022年度中に類型化まで行う予定であったが、十分なエフォートを割くことができず、そこまで至らなかった。しかし、最新の実態について対外的な報告に至っているため、その点ではやや順調と言ってよい。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では「うっかりミス」の発生メカニズムの解明を目指しているものの、現時点で、その前提となる実態解明がまだ不十分である。2023年度中には、センター試験および共通テストの全答案のマーク誤りを分析し、その変化の実態を発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究がやや遅れ、予定より少ない数の学会にしか参加できず、予定していた高度な分析を行うための計算機もまだ購入していない(まだ、低性能の計算機でもできる分析しか行っていない)。これらは2023年度に執行する予定である。
|