研究課題/領域番号 |
22K02971
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 洋士 石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (10230492)
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研究分担者 |
亀田 卓 広島大学, ナノデバイス研究所, 教授 (10343039)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非整数遅延 / 相対誤差 / 相対遅延差 / 時間同期 / 無線信号計測 / 遅延差検出 / オープンソース / 時空間同期 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的を達成するために必要な要件として,下記の(1)~(3)に継続して取り組んできた. (1)無線信号の観測および測定を実施する際に必要となる時間・位相同期を,複数チャネル間または複数台のソフトウェア無線機上で実現する位相・時間同期確立コードの実装を示すこと,(2)プログラマブルな1サンプル未満の時間遅延の実装を行うこと,(3)1サンプル未満の時間差検出の実装を行うこと.
(1)については,2022年11月に開催された電子情報通信学会スマート無線研究会で技術展示を行った.(2)については,0.001サンプルあるいはそれ以下の粒度でサンプル値信号に遅延を付加する手法を提案し,2023年3月開催の移動通信ワークショップ/電子情報通信学会スマート無線研究会で報告を行った.2023年度には,(2)の手法をMATLAB関数として実装し,実装した関数で実現した遅延差の精度検証を実施した.その結果,相対遅延差としての実現であれば,float型演算精度下であっても,1.5$\times 10^{-5}$サンプルオーダまでの微小な遅延差を実現可能であることが明らかとなった.
(3)については2023年度に検討を行った.2つのM系列信号間の時間差を1000分の1サンプル単位の粒度で設定した条件下で,相対誤差1%未満の精度で推定する手法を考案し,シミュレーションプログラムを実装して動作確認を実施するに至っている.この手法には,新規性のある提案内容を含んでいると考えており,研究会などで報告することを目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べた本研究課題の目的を達成するために必要な要件(1)~(3)については,継続して取り組みを続けている.それぞれの内容に進捗があり,2023年度にも新たな取り組みを行った(2)(3)については,新しい提案やその検証を研究室内で実施するに至っている.一方で,取り組み内容について成果報告を行う点については,当初計画していたよりも遅れが生じつつある.
2024年1月1日に発生した能登地方を震源とする地震により校内の施設が破損し,研究室の片づけに時間を要する状況が発生した.研究室内の図書や備品等が床面に散乱・落下するなどの状況があったが,研究継続ができなくなるまでの被害には至っていない.しかしながら,安全の確保や授業の実施計画の種々の変更への対応には,思いがけず時間を要している.一部を除いて校内の施設・設備には大きな被害はないが,震災前と同等の環境には復旧しきれていない部分も存在する.2024年度においても代表者の所属機関が果たすべき活動を震災前と同等に維持していくために必要となる時間は,多大なものとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的を達成するために必要な要件(1)~(3)のうち,(2)および(3)の内容について進捗があるものの,外部に報告できていない状況がある.本年度は,まずこれらについて外部の研究会等で報告することに取り組みしたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施計画に沿って,必要な物品の調達を実施し,経費を有効に活用した.その結果,20万円程度の次年度使用額が生じている.
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