研究課題/領域番号 |
22K02974
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
井上 直子 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任専門員 (80935247)
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研究分担者 |
一方井 祐子 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (00709214)
澤田 真也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (70311123)
家入 正治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, シニアフェロー (50192472)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 科学コミュニケーション / 大規模科学 / 物理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大型加速器施設に代表される大規模基礎科学研究について、科学者と講習の間の健全なコミュニケーションを構築する方法を試み、実証することである。このため、まず現時点での各学問分野や大規模科学研究に関する公衆の興味や期待を調査し、それを基にしながら、素粒子物理などのより基礎的な科学に関する公衆の興味や期待の現状の要因を探る。その上で、グループインタビュー等を通じて、大規模基礎科学研究が行なれている分野について、公衆の興味や期待を高める効果的な科学コミュニケーションの方法を選び出し、その効果を実証する。 初年度である令和4年度には、研究計画に基づき、先行研究である2010年に実施された科学の様々な分野に関する興味と期待に関するアンケート調査を参考に、現時点での各学問分野や大規模科学研究に関する興味と期待に関するアンケート調査の設計を行った。アンケート内容は、先行研究を参考にしながら、学問分野についてはより広い範囲を含むようにした。また、物理関係分野については、物性物理学、天文宇宙惑星科学、素粒子物理学、原子核物理というさらに細分された4分野について調査比較することとした。大規模研究装置については、加速器のほかに、人工衛星、大型望遠鏡、海洋探査装置、核融合装置、スーパーコンピュータについて調査することとした。学令和4年度終了までにこれらの調査内容を確定させ、調査会社への発注・依頼を行った。また、研究協力者である科学コミュニケーターを含めて、次のステップである加速器関連分野に関する公衆へのアプローチの例の抽出へ向けた検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画においては、3年の研究期間中に、大きく分けて次の3つの内容の研究を進める予定である。 ・公衆の基礎科学への興味と期待について、先行研究を参考にしながら、分野の比較のためのアンケート調査を行う。 ・素粒子物理学への興味と期待の背景(要因)についてグループインタビュー等によって調査する。 ・科学コミュニケーターと協力し、大規模加速器施設で研究が行われている分野について、公衆の興味や期待を高める方法を開発する。 これらのうち、1つ目のアンケート調査については調査内容を確定したうえで調査会社への発注・依頼を完了していて、令和5年度初頭にもその調査結果(データ)が手に入る見込みである。今後、そのデータを解析して、文理含めた広い学問分野に関する興味・期待、物理学関連分野については素粒子物理学、原子核物理学、天文宇宙惑星科学、物性物理学という各分野に関する興味・期待、また大規模研究装置に関する興味・期待の度合いと、それらの背景がかなり明らかにできるのではないかと考えている。また、科学コミュニケーターとの検討も継続しており、3年計画の研究の初年度としては、全体の三分の一を超える研究の進捗であると自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実施計画においては、3年の研究期間中に、大きく分けて次の3つの内容の研究を進める予定である。 ・公衆の基礎科学への興味と期待について、先行研究を参考にしながら、分野の比較のためのアンケート調査を行う。 ・素粒子物理学への興味と期待の背景(要因)についてグループインタビュー等によって調査する。 ・科学コミュニケーターと協力し、大規模加速器施設で研究が行われている分野について、公衆の興味や期待を高める方法を開発する。 これらのうち、1つ目のアンケート調査については調査内容を確定したうえで調査会社への発注・依頼を完了していて、令和5年度初頭にもその調査結果(データ)が手に入る見込みである。今後、そのデータを解析して、文理含めた広い学問分野に関する興味・期待、物理学関連分野については素粒子物理学、原子核物理学、天文宇宙惑星科学、物性物理学という各分野に関する興味・期待、また大規模研究装置に関する興味・期待の度合いと、それらの背景をできるだけ明らかにしたい。その結果にもよるが、2つ目の「素粒子物理学への興味と期待の背景(要因)をグループインタービュー等によって調査する」については、経費のかかるグループインタビューではなく、すでに発注したアンケート結果の分析によって代替できる可能性を探る。引き続き、3つ目の「科学コミュニケーターと協力し、大規模加速器施設で研究が行われている分野について、公衆の興味や期待を高める方法を開発する」については、科学コミュニケーターとの検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
すでに交付されている経費の多くは公衆の基礎科学への興味と期待についての比較のためのアンケート調査に使用する予定であったが、その発注が年度終盤となり、年度内に終了しなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。また、未だコロナ禍が収束せず、本来対面で行うことが望ましい研究打ち合わせがすべてオンラインとなったことで、出張経費がかからなかったことも理由の一つである。アンケート調査については令和5年度早期にその執行が完了する見込みである。また、令和5年度からは出張を伴う研究打ち合わせが再開できる見込みである。加えて、今後科学コミュニケーターとの検討に基づいたグループインタビューを予定しており、これにも一定の経費が必要である。
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