研究課題/領域番号 |
22K02996
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研究機関 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
研究代表者 |
不破 輝彦 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (70219137)
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研究分担者 |
貴志 浩久 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (00747735)
田村 仁志 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (30727318)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 技能評価 / 生体計測 / 近赤外分光法 / 自律神経活動 / 電子機器組立て |
研究実績の概要 |
研究目的は、ものづくり技能評価の革新である。電子機器組立て作業を対象に、作業中の生体信号(前頭前野脳血流量変化(NIRS)、自律神経活動、視線)を計測し、技能レベルの異なる被験者(熟練者、中級者)間で比較して技能評価指標を探る。 研究初年度である令和4年度は、まず実験手順の策定を行った。電子機器組立ての作業内容については、作業の難易度の違いが脳機能および自律神経活動に影響することを期待して、作業手順数や作業指示量の観点から、低難度作業と高難度作業を設定した。次に、実験手順を検討した。各作業の作業時間が長くなると、NIRSのベースラインの変動を予測できないため、各作業内容を細分化した。全測定の前後、および細分化された作業の間に、それぞれ安静状態を挿入した。安静状態の測定結果をコントロール(対照)として、NIRSのベースライン補正を行う。なお、安静状態では、被験者に軽負荷(一桁の足し算)を課している。 上記の方針のもと、被験者7名(熟練者(当大学校教員)3名、中級者(当大学校学生)4名)で実験を行った。統計的検証を行うには不十分な被験者数であるが、実験結果の傾向を確認することはできる。測定項目はNIRSおよび心電図(心拍変動から自律神経バランス指標LF/HFを算出)である。視線については、使用するアイマークレコーダとNIRSとの同時測定が困難であることから、別途、実験手順を考えることとし、4年度は使用しない。 実験結果から、次のことを言える。NIRSについては、低難度作業、高難度作業ともに、中級者の方が熟練者よりも前頭前野の脳賦活度が高い傾向となった。高難度作業については有意水準10%で統計的有意差が示された。一方、自律神経バランスを表すLF/HFについては、測定結果の分散が大きく、特に傾向は示せなかった。有効な指標としてLF/HFを活用できるかどうか、今後の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NIRS、心電図計測による実験手順の策定を行い、熟練者3名、中級者4名を被験者とした実験を行うことができたので、順調に進展している。視線計測のための機器は整備されたので、今後、推進する。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、視線計測の導入である。視線計測のための実験手順を策定し、熟練者と中級者の測定を行い、視線解析の方向性を探る必要がある。 第二に、外部の熟練者を被験者として招聘することである。令和4年度はコロナ禍のために外部被験者の招聘を実現できなかった。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、外部招聘の実現可能性が高まった。 第三に、熟練者、中級者ともに被験者数を増やして、統計的検証を行うことである。
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次年度使用額が生じた理由 |
「次年度使用額」は0円より大きいが26,120円と少額であり、ほぼ計画通りである。翌年度分として請求した助成金と合わせて、外部の被験者招聘のための謝金、旅費の一部に使用する。
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