研究課題/領域番号 |
22K02997
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
榎本 哲士 信州大学, 教育学部, 講師 (60758811)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 代数的思考 / 学習者の視線 / 数学的対象の構造 / 観察 |
研究実績の概要 |
数学学習において学習者は,数学的対象がもつ規則性を数字や文字などの記号を用いて式に記述し,数学的対象の構造を観察可能な状態に表現して思考を進める。それは単に、表現した式を簡略化することを意味しない。学習者が観察したい数学的対象の規則性に合わせて式に演算を残すなどして展開し,数学的対象の規則性を異なる形式で再表現することも含まれる。本研究は,このような,数学的対象を式に表しながら観察したり,見出した規則性を正当化したりする際の学習者の思考を研究の対象とし,その質的な差異を捉えようとするものである。学習者の思考の質的な差異を捉えるために,本研究では学習者の発話や記述に加えて,活動中の学習者の視線にも着目する。 学習者が数学的対象の構造をどのように意識して観察しているかを捉えるために,まず,式の表す構造に関するKieran(1989),分析枠組みを提案するTondorf & Prediger(2022)をレビューした。次に,学習者が式を用いて対象の構造を観察し追究する授業を構想・実践するとともに,対象の構造を観察し追究する際の学習者の思考の分析に着手した。その成果として,日本科学教育学会第47回年会では,学習者が式を用いて対象の構造を観察し追究する授業実践と生徒の思考の様相を発表した。また,2024年7月にシドニーで開催されるICME15(国際学会)では,式を用いて対象の構造を観察し追究する生徒の思考の分析結果を発表することになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
期間の途中で職場が変わったことで,研究環境にも変更が生じたため。具体的には,調査や授業実践の依頼先を新たに探し,関係を構築する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに具体化した教材を用いて,視線測定も含めたインタビュー調査を計画・実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は,学習者の視線を計測する機器と解析ソフトが必要である。当初の計画では機器と解析ソフトを単年でレンタルする予定でいたが,毎年単年で契約する場合に使用できない期間が生じ不便であった。それゆえ,継続的に研究を進めることを意図して使用計画を変更し,2024年度中に解析ソフトを買い上げることを新たに計画したため,次年度使用額が生じた。
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