研究課題/領域番号 |
22K03012
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 博 立命館大学, 教職研究科, 准教授 (40802153)
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研究分担者 |
堀江 未来 立命館大学, 国際教育推進機構, 教授 (70377761)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 国際科学教育 / 国際共同研究 / 国際サイエンス・フェア / 探究学習 / スーパーサイエンスハイスクール |
研究実績の概要 |
本研究においては、「理系グローバル人材育成を目指す、高校生『国際共同課題研究』の教育効果と手法の考察」をテーマとしている。新しい学習観の中で注目されている探究型学力を目指す中で、高校生が海外生徒と共同研究を行うことで、グローバル資質も伸長させる教育を追求することに注目している。具体的には、以下の内容を研究の目的としている。①これまで「国際共同課題研究」に参加してきた生徒の成長の追跡調査、② 国際共同課題研究」を有効に行うための実践モデルの構築、③日本全国の高校生に向けて、より良い普及のためのシステムの開発。 2022年度については、これまでの参加生徒(卒業生)の状況を知ることと、現状把握のために、国際共同課題研究を重視した取組が行われている学校への調査活動を行うことと、立命館高校を研究のフィールドとして、新たな国際共同課題研究プロジェクトに参画して、実践を行ってきた。 学校調査においては、国内、海外の学校を調査し、それぞれの学校において、担当教員へのインタビュー等を行い、有益な情報を得ることができた。また、今後の研究における有効な関係つくりが行えた。 立命館高校における実践では、海外校15校、国内校17校の参加を得て、半年間余りの実践に参画した。これまでにない、大きな規模での実践の中で、普及のための様々な知見を得ることができた。 これらの内容を研究分担者、研究協力者と共有し、今後の研究の方向性に関しての議論を行い、今後2年間の研究について、その方向性をより具体化し、有益な成果への期待を得ることができた1年目の研究であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展していると考えている。3年間の研究の中で、これまでに国際共同課題研究を経験した生徒(卒業生)からその成果を読み取ることや、実施方法に関するモデル化、その普及についての研究が中心となるが、1年目である2022年度については、卒業生調査を実施する前段階として、現状把握のために、国際共同課題研究を重視した取組が行われている学校への調査活動を行った。学校調査においては、国内、海外の学校を調査し、それぞれの学校において、担当教員へのインタビュー等を行い、有益な情報を得ることができた。また、今後の研究における有効な関係つくりが行えた。 また、立命館高校を研究のフィールドとして、新たな国際共同課題研究プロジェクトに参画して、実践を行ってきた。立命館高校における実践では、海外校15校、国内校17校の参加を得て、半年間余りの実践に参画した。これまでにない、大きな規模での実践の中で、普及のための様々な知見を得ることができた。このプロジェクトでは、すべてオンラインによって実施され、新しい学校からの参加も敷居が低いと言える。研究発表会においては、コロナ禍の実践の経験を用いて、オンラインによる企画を実施した。 これらの内容を研究分担者、研究協力者と共有し、今後の研究の方向性に関しての議論を行い、今後2年間の研究について、その方向性をより具体化し、有益な成果への期待を得ることができた1年目の研究であり、「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的である、①これまで「国際共同課題研究」に参加してきた生徒の成長の追跡調査、②「国際共同課題研究」を有効に行うための実践モデルの構築、③日本全国の高校生に向けて、より良い普及のためのシステムの開発、の3点について、2023年度、2024年度において研究を進める。 1年目の調査によって、当初考えていたよりも多様な実践が行われていることが分かり、その成果の検証にも、より注力したい。今後、海外の先生方との意見交換も十分に行いたい。シンポジウムのような企画の実施も計画したいと考えている。特に、注目している内容は、この取組によって得られる非認知能力にある。将来、科学者や技術者として活躍するために必要な非認知能力を大きく伸長しているのではないかと考えている。国際サイエンス・フェアにおいても同様に非認知能力を伸長させられると考えているが、両者の検証を行い、その違いを確認したい。同様の能力を伸ばせられるのであれば、明らかに国際共同課題研究の方が費用が小さく、コストパフォーマンスが高いと言える。 国際共同課題研究は、今後の科学教育の中で大きな役割を果たすと考えており、その普及も重要な課題である。オンラインを中心とした取組によって、新しく参画する学校へのハードルを下げ、気軽に取り組める環境を整備することが重要であると考えている。これらをモデル化して、多くの機会で広報し、理系グローバル人材育成ののための新しい手法として定着させたい。 研究成果を論文や報告書等にまとめることと、最終年度には研究分担者、研究協力者と一緒に著書にまとめて発刊したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内、海外とも、コロナ禍の影響もあって、予定していたよりも調査活動が少なくなってしまった。国内校で調査を予定していたが翌年度に繰り越した学校(2~3校)への調査と海外校での調査活動(1件)、また、これまでの国際共同研究を経験した卒業生へのインタビュー調査も翌年度に繰り越し、2023年度にはそれらも含めて実施できるよう考えている。
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