研究課題/領域番号 |
22K03051
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
石津 憲一郎 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (40530142)
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研究分担者 |
樫村 正美 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (00550550)
大月 友 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20508353)
佐藤 修哉 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (20793243)
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 中学生 / メンタルヘルス / 抑うつ / コンパッション / 縦断研究 |
研究実績の概要 |
2023年度は2022年度に引き続き,「自己へ向ける温かさ」と「自己批判」がもつ子供のメンタルヘルスに与える影響を,抑うつ傾向の視点から検討した。この研究では,1学期当初の「自己へ向ける温かさ」と「自己批判」および,experiential avoidance(体験の回避)が抑うつにどのような影響を与えるかを調べることであった。12歳から15歳までの中学生397名が,抑うつ傾向,self-reassurance(SR)とself-criticism尺度(SC),体験の回避傾向(AFQ)へ回答を行った。抑うつ傾向は,抑うつ気分と活動性と楽しみの低減の2因子から構成され,Time1(1学期)の抑うつ得点,年齢,性を統制したうえで,3学期の抑うつ得点に対して,EA,SRとSC,それらの交互作用が影響するかを階層的重回帰分析によって検討した。抑うつ気分を従属変数とした場合,第3ステップまでΔR2の増加が有意であり,SRとSC得点を投入した結果,AFQの抑うつ気分への影響が見られなくなった。活動性と楽しみの低減を従属変数とした場合,第4ステップまでΔR2の増加が有意であり,AFQと自己に向ける温かさの交互作用が有意な影響を示した。単純傾斜検定の結果,自己に向ける温かさが低い場合,AFQは抑うつに対してより強い影響を示すが,自己に向ける温かさが高い場合は,その影響は見られなくなることが示された。これらの結果は、青年期のうつ病を予防するためには、EAを減らすだけでなく、SRとSCに注目することが重要であることを示している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた調査研究を終えることができ,コンパッションの視点を含めた心理教育プログラムの構成に向けて順調に研究を進めることができていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は上記で得られたデータをICP(33rd International Congress of Psychology) で発表する予定になっている。すでに発表については学会に受理されており,発表に向けた準備を進めている。また,データセットの整理を行いながら2024年度は心理教育プログラムの作成を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の生じた未使用額を踏まえ,今年度は出張によるミーティングを行い,また得られたデータの一部を国際学会にて発表する計画である。
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