研究課題/領域番号 |
22K03066
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
酒井 恵子 大阪工業大学, 教職教室, 教授 (50306370)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 順序関係分析 |
研究実績の概要 |
順序関係分析は,心理測定尺度に含まれる項目間の順序関係を,項目間相関と平均値差に基づき判定し,尺度全体の半順序構造を樹状図により可視化し,測ろうとする特性の意味構造を明らかにするための分析手法である。これまでに開発した順序関係分析の分析プログラムは,特にグラフィック機能の面で改良の余地があった。また,既存の他の分析手法との関係等,理論的基礎付けが未だ不充分であった。本研究はこれらの残された課題に取り組み,順序関係分析の理論と方法を確立しようとするものであり,具体的には以下の3つを目的としている。 (1) 順序関係分析に関する理論的検討<T(=Theory)系統> (2) 順序関係分析のための分析プログラムの改良<P(=Program)系統> (3) 順序関係分析の様々なパーソナリティ尺度への適用<A(=Application)系統> 令和4年度は主に上記(2)(=P系統)について作業を進め,3次元樹状図の描画プログラムをほぼ完成させたが,令和5年度は,この3次元樹状図の特長等について,日本パーソナリティ心理学会第32回大会において発表した。また,上記(3)(=A系統)に関して,順序関係分析が今後様々なパーソナリティ尺度に適用されるようになっていくことを目指して,発達心理学会第35回大会において,「順序関係分析の基本と手順と応用例」と題したワークショップを開催し,Rプログラムを用いた分析の手順および得られる結果について,いくつかの応用例を通じて解説した。またその際,上記(1)(=T系統)に関して,そもそも順序関係分析とは何であり,どのような理論的背景を持っているか等についても,理論的な整理を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のT系統・P系統・A系統の全てにわたり,概ねバランスよく進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には,日本教育心理学会第66回総会において,順序関係分析の理論的背景に焦点を当てたシンポジウム「心理尺度における順序関係・順序構造をめぐって」を開催し,心理統計の専門家からのコメントも得て,順序関係分析の理論的な背景や位置づけ,特長や課題等について,さらに明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は,発達心理学会におけるワークショップがオンラインでの開催になり旅費が生じなかったこと等により,次年度への繰り越しが生じた。2024年度は学会発表2件を予定しており(熊本・つくば),前後の日程によっては飛行機での移動の可能性もあるため,繰り越し分は主にそれらの旅費に充てる予定である。
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