研究実績の概要 |
社会情動的コンピテンシー (Socio-emotional Competencies; もしくは非認知スキル/能力) にまつわるさまざまな誤解は,それらの [1] 定義が不十分であること,[2] 測定可能性が不十分であること,[3] 教育可能性が不透明であることに起因すると考えられる。本研究課題の目的は,これら3つの不十分性/不透明性を解決するため,特性とスキルが適切に弁別された尺度であるBehavioral, Emotional, and Social Skills Inventory (BESSI, Soto et al., 2022) に注目して,一連の教育心理学研究を遂行することにある。BESSIは,パーソナリティ特性のBig Fiveには依拠しつつも,行動パターンではなく,それぞれに紐づいたスキルを尋ねようとしている点に特色がある。また,Big Five以外にも,OECDの提唱枠組みや21世紀型コンピテンシーとも十分な対応関係があり,分かりやすいものとなっている。本年度は,社会情動的コンピテンシーの測定可能性と涵養可能性の検討を目指すため(先述の課題のうち,とりわけ[1]と[2]に取り組むため),特性的な特徴からある程度分離されたスキルの個人差を測定するためのツールとしてBESSIに着目し,邦訳版(自己回答版)を作成することを具体的な目標として,192項目のすべての項目について精査しつつ,日本語訳を行い,その信頼性と妥当性の検証を開始した。
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