研究実績の概要 |
社会情動的コンピテンシー (Socio-emotional Competencies; もしくは非認知スキル/能力) にまつわるさまざまな誤解は,それらの [1] 定義が不十分であること,[2] 測定可能性が不十分であること,[3] 教育可能性が不透明であることに起因すると考えられる。本研究課題の目的は,これら3つの不十分性/不透明性を解決するため,特性とスキルが適切に弁別された尺度であるBehavioral, Emotional, and Social Skills Inventory (BESSI, Soto et al., 2022) に注目して,一連の教育心理学研究を遂行することにある。BESSIは,パーソナリティ特性のBig Fiveには依拠しつつも,行動パターンではなく,それぞれに紐づいたスキルを尋ねようとしている点に特色がある。また,Big Five以外にも,OECDの提唱枠組みや21世紀型コンピテンシーとも十分な対応関係があり,分かりやすいものとなっている。本年度は,社会情動的コンピテンシーの測定可能性と涵養可能性の検討を目指すため,とりわけ創造性/創造的思考やグローバルシテラシーに着目しながら研究を遂行し,2本の英語論文業績を報告した(Kyeong, Knapp, Takahashi et al., 2024; Zhang & Takahashi, 2024)。また,当初の研究計画に追加して小学生や中学生を対象にデータを取得することの検討を開始し,その予備的な研究を行った。一連の研究の成果として計18件の学会発表を行い,日本心理学会より優秀発表賞,日本発達心理学会からは国際奨励賞をそれぞれ受賞した。
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