研究課題/領域番号 |
22K03082
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
荘島 幸子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 准教授 (70572676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 性の多様性 / 自己形成 / 発達支援 / 対話生成 / ゲーミング |
研究実績の概要 |
本研究では、特に第2の自殺のピーク期を大学生活の中で迎えることに着目し、大学生活におけるメンタルヘルス支援、環境づくりを喫緊の課題として捉え、実態調査ならびに支援体制の構築を目指す。本研究は3つの研究【A】【B】【C】から構成されている。それぞれの研究について、初年度の実績の概要を述べる。 【A】SOGI非典型者の第2の自殺のピーク期の防御要因を明らかにするための基礎研究:今年度は、SOGI非典型な学生の大学生活に関するレビューを行った。また、大学卒業後の当事者の方へのヒアリングを行い、大学生活で困難に感じていたことについて話を伺う機会をもった。SOGI非典型の学生は、複数の問題を連鎖的に抱え込みながら、大学生活を送っていることが先行研究から明らかとなった。一方、防御要因として他者との親密な関係が考えられる。インタビュー研究を予定しており、現在調査協力者のリクルートを行っている。 【B】大学教職員、SOGI典型な学生を対象とした、支持的、受容的な大学環境づくりのための基礎研究:研究【A】がある程度進んだうえで質問紙調査を実施する。先行研究をレビューし、質問紙調査の方法を精査した。郵送調査とweb調査のメリット、デメリットを検討した。 【C】性の多様性の理解と対話的関係の形成を目指したゲーミング教材の開発・実践:今年度は、ゲーミング教材として「心かるた」「アンゲーム」について検討、学生同士で実施させた。いずれも参加者同士の対話を重視した教材であり、本研究における汎用性が高いと考えられた。また、ゲームを教育に活用する際の質と倫理的な問題に関しても検討を行った。特に、ゲームと現実を引き離すことが重要であり、ゲームによって逆にネガティヴな見方や偏見を強化する可能性については今後慎重に吟味する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において、研究のフィージビリティを一定程度確認できたことは評価できる。今年度は、予備調査としてヒアリング、質問紙調査の方法について吟味・検討、ゲームの質と倫理面の検討という重要な作業を行ったうえで、今後の研究の見通しをつけることができたことから、調査はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、研究【A】【B】【C】の3つの研究についてそれぞれ述べる。 【A】SOGI非典型者の第2の自殺のピーク期の防御要因を明らかにするための基礎研究:昨年度はコロナ禍のために、LGBTサークルや全国の自助グループの実態把握が困難であった。今後、実態把握に取り掛かり、調査協力者のリクルートを推進する。 【B】大学教職員、SOGI典型な学生を対象とした、支持的、受容的な大学環境づくりのための基礎研究:レビュー論文における質問紙調査の内容を精査する。研究【A】がある程度進んだうえで質問紙調査を作成する。 【C】性の多様性の理解と対話的関係の形成を目指したゲーミング教材の開発・実践:引き続き、本研究で汎用性の高いゲーミング教材について調べ、入手し、ゼミを通じて実施する。倫理面とルール作りについて具体的な検討に取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、①パーソナルコンピューターの準備にかかる支出が想定よりも安価で済んだことと、②研究【A】の実態把握のための作業がコロナ禍のため、実施できなかったためである。 使用計画として、②コロナの状況が改善すれば、研究【A】の実態把握の作業に取りかかる予定である。
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