研究課題/領域番号 |
22K03091
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
渡邉 照美 佛教大学, 教育学部, 准教授 (60441466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ケアラー / ダブルケア / 生涯発達 / ライフサイクル |
研究実績の概要 |
高齢化率が世界トップの日本では,少子化,晩婚・晩産化が同時に進行している。ライフサイクルの変化がもたらした結果として,ケアすることに注目すると,子や孫の育児と祖父母や親,きょうだい等の介護が同時に起こる「ダブルケア」が生じている。この「ダブルケア」は,今後ますます多くの人の人生に長期にわたって関係する重要なテーマとなることが予想される。そこで本研究では,「ダブルケア」を「誰かのケアをしながら,別の誰か(自分自身も含む)をケアすること」と広義にとらえ,ダブルケアラーを対象として,質問紙調査と面接調査から,ダブルケアラーの実態を明らかにすることを目的としている。 2022年度は,以前にWeb上で調査を実施したデータについて,年代に着目し再分析を行った。その結果,今回の調査協力者の若年層(10代から30代)は,ケアすることで肯定的な影響を感じていた(結果「人生への影響」「自覚的成熟」)。 一方で,20代や30代といった若者ケアラーは,ケアに関わる否定的な感情(「不自由さ」,「逃避感情」,「罪悪感得点」)を抱く傾向にあった。つまり,ケアを担う実際の場面では,ケアすることに対してしんどさを感じたり,ケア以外のことをしているときには罪悪感を感じたりと否定的な経験をしているといえるが、総じて,ケア経験が人生には肯定的な影響を与えていると認識しているといえる。ただし,本調査の協力者は,Web調査に協力できる環境のあるケアラーであるため,現在進行形でケアをになっていて回答に余裕のない層は回答していない可能性もある。中年期以降に着目すると 50代,60代といった中年期以降の年代では,ケアをしている相手のことを気にかけ続け,自信をもってケアに積極的関与している状況が推測された。若年層と中高年層では,ケアラーの社会生活上の影響や負担,感情は異なるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度,他のケアラーに関する研究プロジェクトに関係することになり,想定以上の研究分担があったため,本課題の進捗状況が遅れることになってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施予定であったWeb調査については,現在,質問紙を作成し終えたところであり,今後,所属先の研究倫理審査委員会の承認を得たのち,速やかに調査を実施し,分析を行う。また2022年度にかなりのエフォートを割くことになった他のケアラーに関するプロジェクトの見通しがたったため,今年度は本研究課題にエフォートを多く割くことができる見込みであり,計画通り研究を遂行できるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度のWeb調査を実施予定であったが,他のケアラーに関するプロジェクトの分担が大きかったため実施ができず,次年度使用額が生じた。2023年度初期にWeb調査を実施予定であるので,その際に2022年度に使用予定であった額を使用する計画を立てている。
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