研究課題/領域番号 |
22K03099
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 美樹江 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20536081)
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研究分担者 |
加藤 大樹 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (00509573)
浅井 継悟 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40776655)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学校不適応 / 小学生 / 高校生 / 欠席 / 縦断的調査 / スクールカウンセラー / 見通し力 / 心理的成長 |
研究実績の概要 |
本研究は,学校不適応感が与える中・長期的影響を検証するとともに,学校不適応感後の心理的成長に必要な心理的支援法について検討することであった。この目的に沿って今年度は以下の研究を実施した。 第1に高校生の学校不適応感,ロールフルネス(役割満足感)及びプロアクティヴについて,2年間の4時点での縦断的調査を通して,影響過程について検討を行った。その結果,社会的ロールフルネスは,プロアクティヴと不適応徴候(情緒面)を媒介して,不適応徴候(行動・身体面)に有意な負の影響を与えていた。同時にプロアクティヴは,社会的ロールフルネスを媒介して,不適応徴候(行動・身体面)に有意な負の影響を与え,最終的に社会的及び内的ロールフルネスに有意な正の影響を与えていた。本結果については,学校心理学会の大会にて発表を行った。 第2に,小学校の3年間の欠席日数と学校不適応感との関連について,潜在成長曲線モデルを実施した結果,自信のなさ(不適応要因)が3年間の欠席日数の変移に影響を与えていることが明らかとなった。加えて,小学3年生の自信のなさは小学4年生の不適応徴候(身体面)に正の有意傾向を示し、小学4年生の不適応徴候(身体面)は小学5年生の欠席日数に有意な正の影響を与えていた。本結果については国際学会にて発表を行った。 第3に,高校生を対象として,見通し力と学校不適応感との関連について検討を行ったところ,見通し力が高い生徒は見通し力が低い生徒と比較して「不適応徴候」「被受容感の乏しさ」「社会的コンピテンスの不足」得点が高いことが示された。本結果は日本心理臨床学会大会にて報告を行った。 その他にも不適応徴候・要因の経年変化とスクールカウンセラーへの関心との関連を検討し,不適応高群、不適応上昇群ではスクールカウンセラーへの関心が高いことが示され,日本心理臨床学会大会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度では,3年間の縦断的調査より小学生において,学校不適応要因のなかでもとくに自信のなさが欠席日数に影響を与えていることを明らかにすることができた。また欠席日数が増加する経過のなかでは,身体不調などの不適応徴候が媒介していることが示された。そのため,自信のなさを抱えている児童については,身体不調を訴える際にはとくに不登校予防の観点からも丁寧な心理的支援が必要となる可能性について示唆された。 同時に高校生の2年間に渡る4時点の縦断的調査より,プロアクティヴが低い生徒はロールフルネス(役割満足感)が低く結果的に学校不適応感が高まることが示された。そのため,自ら主体的に動くことが難しい生徒には,何らかの役割をこちらから提案し,その過程で自分が学校やクラスで受け入れられているという感覚を得るように支援していく必要性が示された点で新たな知見が得られた。 加えて,現在学びの多様化学校(不登校特例校)の教諭を対象に学校不適応感後の心理的成長に必要であると考える心理的支援について,質問紙調査及び面接調査を通して実施しており,その結果について学会にて発表予定である。
なお,具体的な今年度の研究全体についての成果としては、関連論文3編、国際学会発表2件,国内学会発表4件について学術的発信を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では,学校不適応感後に心理的成長を促した要因について,大学生を対象に質問紙調査を既に実施し分析を終えており,学術誌に投稿予定である。 加えて,小学から高校生教諭を対象に自由記述調査を実施し,学校不適応感を抱いていた児童・生徒がどのような支援を経て適応に至ったのかにについて尋ね,テキストマイニング等を用いて分析を実施しており,本結果についても学会にて発表予定である。 さらに,学びの多様化学校の教諭を対象に学校不適応感を抱いていた児童・生徒にどのような支援方法が有効であったかについて面接調査を既に実施している。今後本データを整理して,学会等に発表する予定としている。 加えて心理的成長尺度についても現在作成しており,信頼性・妥当性についても検証する予定である。その後,学校不適応感後に心理的成長が促された児童・生徒と関連する要因について検討し,学校不適応感後の成長の様相とその促進要因についての知見を纏める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度と一昨年度に行く予定であった国際学会及び国内学会について、学務の都合上予定が合わず出席できなかったため,その分の研究成果発表を今年度行う予定としている。 また,研究協力者への謝礼についても,昨年度は予定が合わず想定より少ない日数での協力となったため,本年度はその分も含めて検討する時間を設け,研究を推進していく予定としている。
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