研究課題/領域番号 |
22K03118
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
富田 真紀子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (40587565)
|
研究分担者 |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 部長 (00532243)
西田 裕紀子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 副部長 (60393170)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ワーク・ファミリー・バランス / ワーク・ファミリー・コンフリクト / ワーク・ファミリー・ファシリテーション / 中高年 / 心身の健康 |
研究実績の概要 |
1.研究の目的:本研究では、地域在住中高年者からの性・年齢層化無作為抽出者約2300名を対象とした「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(National Institute for Longevity Sciences - Longitudinal Study of Aging: NILS-LSA)」の学際的長期縦断データを用い、中高年者のワーク・ライフ・バランスと心身の健康との関連を明らかにする。心身の健康に関しては、心理的健康だけでなく、特に中高年期の予防が重要とされる肥満や高血圧などの生活習慣病、更年期障害、フレイル、要介護などの身体的健康に着目する。国際的にも類を見ない約12年間(4時点)の縦断データを用いて、特にワーク・ライフ・バランスのライフに関しては家庭生活に焦点づけ、中高年者のワーク・ファミリー・バランス(WFB)実現が心身の健康の維持・増進に寄与するかを検証する。 2.本年度の実施計画:WFB尺度は4下位尺度から構成される(富田ら,2019)。本尺度はNILS-LSAの第7次調査(Time1:2010-2012)と第8次調査(Time2:2013-2016)、第9次調査(Time3:2018-2022)に組み込まれ、これまで3時点のデータ収集を行ってきた。本年度は4時点目となる第10次調査の準備および開始を予定していた。 3.本年度の成果:本年度は第10次調査の準備を進め、2023年2月から第10次調査を開始した。また、第10次調査の開始前に予備調査(WEB調査)を行い、中高年者の就労意向を詳細に問う調査を実施した。この結果を基に、第10次調査には新たに中高年者の就労意向を詳細に問う項目が組み込まれたことから、本研究課題では中高年者の就労意向とWFBの関連も詳細に検討することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、NILS-LSAの3時点の縦断解析(既存データ:Time1-3)を行い、WFBと心身の健康の関連について検討を進めた。 また、追跡調査として、第10次調査の準備、予備調査(WEB調査)を行い、2023年2月から第10次調査が開始された。第10次調査にはWFB尺度が組み込まれており、本研究課題の計画通り開始することができた。よって、本研究課題の進行状況は「おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の3点を遂行する。 1.第10次調査の実施:2023年度から2025年度までは第10次調査を実施し、データ収集・整備を行う。 2.3時点の縦断解析の実施:2023年度から2024年度までは3時点の縦断解析(既存データ:Time1-3)を行い、WFBと心身の健康の関連を検討する。2025年には4時点の縦断解析を行う。解析モデルとして、WFBから心身の健康への影響(因果の方向性)の検討は、縦断データを用いた交差遅延モデル(Finkel, 1995)を用いる。また、並行潜在成長曲線モデル(Piccinin et al., 2011)による解析も行い、WFBの推移が心身の健康の推移に与える影響を定量的に明らかにする。 3.成果の公表:得られた結果は、学会発表および学術雑誌投稿を行い、公表する。また、国立長寿医療研究センターのホームページを介して一般向けに情報を提供する。 なお、本研究課題の開始後、研究代表者はNILS-LSAを実施している国立長寿医療研究センターから名古屋市立大学へ異動となったが、国立長寿医療研究センターにおいて客員研究員となる手続きを行った。また、分担研究者、研究協力者の協力により、研究が遂行できる目途が立っている。そのため、研究代表者は継続して、本研究課題を計画どおり遂行する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
1.次年度使用が生じた理由:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、当初予定していた学会がWEB開催等の措置が取られ、旅費の使用計画に変更が生じた。 2.使用計画:本年度の繰越金および翌年度分として請求した助成金は、データ整備、および、研究遂行のための費用として、物品費(文具一式、書籍、ネットワークハードディスク、パソコン周辺機器、パソコンソフト等)、旅費(資料収集および研究成果発表費)、人件費・謝金(対象者の名簿管理、データ整理などを行う研究補助員への賃金等)、その他(研究成果発表にかかる学会参加費、英文校正費用、投稿料)として使用する予定である。
|