研究課題
本研究では、インターネット依存が高頻度存在することが報告されている青年期の大学生を対象とし、大学生が日常的に利用している身近なスマートフォンを用いて、オンライン生活が益々増えるであろうポストコロナ時代において、ネット依存傾向の早期検知を行い、その介入システムの構築を行うことを目的として研究を進めている。2022年度は、早期検知をスマートフォンで行うため、大学生がオンライン主体の生活の中でネット依存傾向に陥る際に早期から示しうる危険因子を明らかにする点に主眼を置き、包括的な質問項目の作成を行った。質問項目の構成は、基礎情報、インターネットの利用時間、睡眠習慣(就寝時刻、起床時刻、睡眠時間)、睡眠の質(ピッツバーグ睡眠質問票)、生活範囲、社会的活動(Social Function Scale)、学業意欲、学業へのエンゲージメント(Work Engagement Scale for Students)を主体に用いた。この質問項目を用いて、ネット依存傾向の危険因子を同定するとともに、その危険因子をスマートフォンのアプリを用いることで自動的に検知できるよう、システムの作成を進めた。このように、ネット依存の危険因子を明確化し、その結果を真値として、近年、スマートフォンはネット依存に陥る際の直接的に関連するデバイスとなっていることを鑑み、本研究ではその点を逆手に取り、大学生が日常的に使用している身近なスマートフォンを利用して、ネット依存傾向の早期検知に資する危険因子の同定とシステムを構築を進めている点で社会課題解決上、非常に重要であると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
2022年度に研究進捗の予定として進めていた、ネット依存傾向の危険因子探索のための質問項目の構成を行うとともに、スマートフォン上でデータ収集を行うためのシステム基盤の作成を進めることができ、おおむね順調に本研究は進展していると考えられる。
今後、収集されたデータから、インターネット依存度テストのスコアをアウトカムとし、回帰モデルを用いて、ネット依存傾向に陥る危険因子の同定を行う。また、利用しているスマートフォンのセンシングにより、早期検知システム確立のための推定精度検証を行う予定である。
当初想定よりも、特に初年度に旅費の使用が少なかったことが理由として挙げられる。これは、初年度ということもあり、研究成果の結果報告の機会が少なかったことが挙げられる。また、データ解析のための物品購入が最終解析にまで至っていないことから、使用時期が多少計画とずれを来たしている。来年度は解析に向けて物品費および人件費、また学会参加に伴う経費が増えることが想定され、来年度分として請求した助成金とあわせて使用を行う予定である。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Frontiers in Psychiatry
巻: 13 ページ: 946265
10.3389/fpsyt.2022.946265