研究課題/領域番号 |
22K03143
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
山田 美穂 お茶の水女子大学, コンピテンシー育成開発研究所, 准教授 (30610026)
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研究分担者 |
砂川 芽吹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (70823574)
石丸 径一郎 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (30435721)
高橋 哲 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10886914)
平野 真理 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (50707411)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 発達障害 / 心理教育 / コンピテンシー育成 / 自閉スペクトラム症 / ダンス/ムーブメントセラピー / 心理職養成 / 大学院教育 / 臨床心理学教育 |
研究実績の概要 |
本研究で予定している具体的な研究内容は,(1)ASDのある女児への心理教育グループ実践研究,(2)大学院生用ファシリテーター養成プログラムの開発,(3)現任者用ファシリテーター養成オンラインプログラムの開発である.申請時は研究者2名による共同研究を予定していたが,3名の研究分担者を加えた研究チーム構成とした.これにより,ファシリテーター養成プログラムをより包括的に,心理専門職養成教育全体の中に位置づけた形で作成・実施することが可能になった. 本年度は,主に(1-1)ASD女児への心理教育プログラム実践と(1-2)ファシリテーターに必要なコンピテンシーの分析・定式化を行った.(1-1)では,ファシリテーター(大学院生スタッフ)への試行トレーニングセッションの後,小学校低学年のASD女児を対象に参加者募集した.グループ実践を予定していたが,参加者のスケジュールやニーズの調整困難のため,個別実践を対面で1クール、オンラインで1クール(各6回)行うことができた.(1-2)では,(1-1)の実践を通したファシリテーターへのトレーニング効果について,自己評価アンケートと個別インタビューのデータを分析し,ファシリテーターに必要な実践コンピテンシーを抽出することができた.これらの研究結果から,大学院生への教育で手薄になりがちな実践コンピテンシーが抽出された.特に大学院生ファシリテーターが自身の身体感覚・身体運動を介入に活用することは難度が高く,段階的にトレーニングを重ねる必要があることが明らかになった. 本年度の後半から次年度にかけては(2-1)大学院生用トレーニングプログラムの開発を進めている.大学内で実施する対面型を想定し,先行研究からもトレーニング実践例を収集して,基本的枠組みを作成したところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた研究課題はおおよそ達成することができた.グループでの心理教育実践はできなかったが,1クール実施を予定していたところ,個別セッションを対面・オンラインの計2クール実施でき,大学院生スタッフのトレーニング内容としても予想を上回る豊富なデータが収集できた.さらに次年度での新たなセッション実施も既に計画が進んでおり,データの追加が期待できる状況である。 また,研究チームの増員により,発達障害児への心理教育にとどまらず,対象や支援内容を広げての研究の発展可能性を検討できるようになり,このことも本年度の重要な進捗であったと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実績をふまえ,次年度は(2)大学院生用ファシリテーター養成プログラムの開発,次々年度は(3)現任者用ファシリテーター養成オンラインプログラムの開発が,主な研究内容となる. まず(2)については,大学院教育全体を見据えた段階的なコンピテンシー育成をいかに実現するかが課題となる.プログラムの実施とデータ分析の両方において,さらなる人的リソースが必要となるため,現行の大学院教育カリキュラムと連動したプログラムの検討や研究協力者の増員を行い,研究成果と教育実践の相乗効果がはかれるようにする. 並行して,(2)および(3)の効率的な実施と成果公開のため,動画教材の作成・活用やオンラインでの公開・提供を計画し,試行していく.専門業者の協力等も得て,トレーニング効果の向上および研究成果の適切な伝達のために最善の方法を模索する.
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次年度使用額が生じた理由 |
基盤研究(C)における独立基盤形成支援(試行)を受けることができたため、当初の予定よりも研究計画を拡大し、予算計画の再作成を行った。次年度はウェアラブルデバイスの購入等により生理学的データの収集を計画に追加する。また、学会参加費・旅費に充てることで、成果発表の機会を増やす予定である。
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