研究課題/領域番号 |
22K03172
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福森 崇貴 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (50453402)
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研究分担者 |
山本 哲也 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (60779396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 共感疲労 / VR / がん医療 / 二次的トラウマティック・ストレス / バーチャルリアリティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1)共感疲労予防のためのVR(Virtual Reality)を用いた自己内対話システムを開発すること,(2)がん医療に携わる看護師に対して自己内対話システムを用いた介入を実施し,その効果測定を行うこと,の2点である。 令和5年度は,上記(1)について,自己内対話を構造化するための教示の提示方法について決定した。また,その後システム開発を進めるにあたり,いくつかの課題が明確になってきた。それらは,①アバターの顔や身体の動きが制限されてしまい,その違和感から,人によっては自己内対話への没入度が低くなってしまうこと,②アバターを入れ替えながら,話す,その話を聴く,また話す,という作業を繰り返す手続きの中,人によっては途中で今の自分の役割に混乱を来し,円滑な自己内対話が妨げられてしまうこと,③自己内対話中に自らの問題をどのように扱うかや,どの程度深めるかについてはシステム使用者の裁量に任され,それによって自己内対話のパフォーマンスにばらつきが生じやすいこと,である。これらのうち,最初の2点については,ConVRself(Osimo et al., 2015; Slater et al., 2019)というアプリの技術導入により解決が期待される。また3点目についても,ConVRselfを用いた研究手続きの応用により解決が見込まれる。ConVRselfでは,その導入前に心理職とのミーティングの機会が設けられ,自らの問題を定義するための詳細なサポートが行われる。更に,取り扱う問題によっては,使用者に対して心理的スキルの簡易トレーニングも実施する。これらの技術や手続きをVR-SCに導入・統合することで,上記課題は解決され,本研究はより一層発展を遂げると推測された。よって,ConVRselfの開発者に交渉を行い,最終的に,その技術および手続き提供について承諾を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を進めていく中で上記(「研究実績の概要」に記載)のようないくつかの課題が明らかとなり,課題の解消および本研究の発展のため,まずはそれらをクリアするための対策を講じる必要性が生じた。そのため,結果として令和5年度にはプレ介入の研究パートに入ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には,8月までの前半に,構造化されたVR-SCを用いた予備実験を行う。そして後半の9月より,スペインにあるConVRself開発者の研究室に渡航し,ConVRselfの技術および手続きの提供を受けると共に,予備実験結果も参考にしながらVR-SCの改訂作業を行う。帰国後には,VR-SCを有識者に試行し,問題点などを確認し,完成させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既述の通り,令和5年度の計画の進度に若干の遅れが生じたため,それに関連する旅費や消耗品費が使用できなかった。よって来年度には急ぎ遅れた分の計画を進め,それらを使用することとする。
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