研究実績の概要 |
2023年度は以下の2つの調査研究を行った。 (1)テレワークにおける若年就業者の組織社会化に関する調査研究 調査対象:22-29歳の大学卒業以上の新卒採用である企業従業員1098名。調査は組織社会化尺度,「職場の一体感」尺度,上司コミュニケーションの質尺度,精神症状尺度(K10),ワーク・エンゲイジメント尺度,離職意思尺度(TIS-6),基本属性,テレワーク状況に関する質問を行った。結果,テレワーク頻度にかかわらず「職業的社会化」は勤務年数が長いほど社会化がなされていた。「文化的社会化」には交互作用がみられ,1年目のテレワーク頻度が「低頻度」の群は「テレワークなし」「高頻度」の群よりも社会化がなされていた。パス解析の結果,「上司コミュニケーションの質」は「組織社会化」へ弱い正のパス,「職場の一体感」へ中程度の正のパスを示した。「職場の一体感」「上司コミュニケーションの質」は「ワーク・エンゲイジメント」へ弱い正のパス,「精神症状」「離職意思」へ弱い負のパスを示した。以上のことから、「上司コミュニケーションの質」は「組織社会化」を促し,「ワーク・エンゲイジメント」を高め,「精神症状」「離職意思」を低める可能性が示唆された。 (2)テレワークにおける上司のコミュニケーションと部下の精神的健康度との関連に関する研究 テレワーク業務を主とするコンサルティングファームA企業の社員91名 。調査は、上司コミュニケーションの質尺度, 上司によるサポート尺度,上司との目標一致尺度,ワーク・エンゲイジメント尺度,新職業性ストレス簡易調査票,基本属性, テレワーク状況に関する質問を行った。重回帰分析の結果,「上司のコミュニケーションの質」が高いほど, 「ワーク・エンゲイジメント」が高い傾向を示した。職位別・男女別の分析では,職位低群または女性の方が上司による関わりの影響が大きいことが示された。
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