研究課題/領域番号 |
22K03203
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
倉岡 康治 関西医科大学, 医学部, 助教 (10581647)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 扁桃体 / ニューロン / サル / 不信 |
研究実績の概要 |
安定的な社会を形成する上では、他者への信頼が必須なため、時として信頼度が低い他者を信頼する必要もある。本研究では、不信感に抗って他者を信頼する際の脳内機構を明らかにすることを目的としている。そのために、サルを対象に実験室環境で他個体への信頼を築く課題を確立し、信頼度に判定に関与する脳内機能として注目した扁桃体を中心とした脳領域の活動を確認する。 前年度に顔刺激を用いた課題で、刺激の視線の向きと標的位置の関係により被験体が顔画像刺激に対して感じる信頼度の違いがうまれることを行動結果により示していたが、令和5年度は被験体が顔画像刺激から受けとる情動を具現化するため、刺激提示に対する瞳孔径や脈波の変化という自律神経応答を解析した。どちらの指標においても、負の顔画像に対して交感神経活動がみられることに加えて、脈波に基づく心拍変動の解析により正の顔画像に対する副交感神経活動を具現化できた。 また、顔画像刺激に対する扁桃体ニューロン応答も記録し、顔刺激提示直前のまだどの顔刺激が提示されるか分からない段階で、ベース活動から徐々に活動が高まってくるニューロン群を認めた。これらのニューロン群は、リアルな顔と人工的な顔を区別して応答するとともに、期待される報酬量を区別して応答する傾向があった。 以上のことから、このような扁桃体ニューロン応答は顔刺激に対する不信感などの負の情動に対する覚醒度を反映した応答である可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は顔刺激に対する自律神経応答や扁桃体ニューロン応答を記録することで、刺激の情動価の違いによる自律神経応答を具現化できた上に、特徴的なニューロン活動も見出している。よって本研究課題は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度も引き続き扁桃体を中心とした脳領域からニューロン応答記録を行い、顔刺激との関連を解析することで、他個体の信頼度に対する扁桃体ニューロン活動の関与の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、令和5年度にニューロン応答記録用マニピュレーターを購入予定であったが、このマニピュレーターを別途用意することができた。よっておよそこの分の金額が翌年度に繰り越しとなった。 次年度にはこの繰り越し額を用いてモンキーチェアなどニューロン活動記録に必要な支出を行う予定である。
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