研究課題/領域番号 |
22K03210
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
有賀 敦紀 中央大学, 文学部, 教授 (20609565)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音のピッチ / 音象徴 / 感覚間相互作用 |
研究実績の概要 |
これまで,音のピッチ(周波数)は視空間的な象徴的性質(すなわち,空間的音象徴性)を有しており,それが音に対する空間的言語表現を生み出した可能性が指摘 されてきたが,現段階で結論には至っていない。なぜなら,ピッチと視覚空間には「高い/低い」という言語的対応が既に存在しており,この影響を排除するこ とができないからである。本研究は言語を介さない感覚間相互作用を調べることで,空間的音象徴の形成過程を解明することを目的とした。 二年目は,初年度に得た基礎的知見に基づき,音源までの距離の知覚が音のピッチに依存することを調べる研究を開始した。「高い/低い」という言語を使わず,音源までの距離を推定させることで空間的音象徴の形成過程に迫れると考えた。具体的には,予備実験においてラウドネスを統制した上で,本実験では刺激音のピッチが音源までの距離の推定に影響を与えるのかを調べている。この研究は,現時点でデータを取得している段階であり,三年目に学会発表および論文執筆を行う予定である。 さらに,対象とする感覚を聴覚や視覚に限定せず,味覚や触覚にも拡大し,引き続き感覚間相互作用の基礎的知見を得ることを目指している。その結果,容器の触覚情報が飲料の味覚評価に影響を与えることが明らかになった。さらに,この感覚間相互作用は,飲料を飲む環境との一致性に依存することも示した。この研究は国内の学会で発表された。成果をまとめた論文は国内誌に投稿し,現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に研究代表者が所属機関を変更し,研究手法の変更をする必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
二年目に研究手法を確立することができたため,三年目は当初の目的を達成すべく研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅れに伴い,研究成果の公表(学会出張)を次年度に行うこととしたため。
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