研究課題/領域番号 |
22K03229
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 宣能 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60301298)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 代数多様体 / Gromov-Witten不変量 / 対数的幾何学 / カンドル |
研究実績の概要 |
今年度は、主に半単純な無限小s多様体の表現および対数的曲面上の一次元層について調べた。
1. カンドル多様体のうち「非退化」なものというべき正則s多様体から、そのある点での接空間として無限小s多様体が定まる。正則s多様体上の線形な加群と無限小s多様体の表現には、Lie群とLie環の表現の場合と同様に対応があるので、無限小s多様体の表現を調べることが問題となる。今年度は、付随するLie環が半単純Lie環であるような無限小s多様体について調べ、特にその正則な表現は付随するLie環の表現から得られることを示した。論文は準備中である。
2. K3曲面上の層について、モジュライ空間にsymplectic構造が入ることが知られていた。対数的カラビヤウ曲面(X, D)(より正確にはPoisson曲面)の場合、同様にして層のモジュライ空間上にPoisson構造が入り、特に台が境界Dと一点で交わる層のなす部分多様体はそのsymplectic葉になる。今年度の研究では、この多様体がsymplectic特異点を持つか、という問題を考察した。まず、Dとnodeで交わるような種数2の曲線Cの構造層が含まれる成分について、具体的な計算を行い、特異点の型を求めた。また、より高い種数の場合にも、曲面のブローアップ上の層のモジュライを用いることにより部分的な特異点解消ができるであろう、ということを観察した。これを実際に遂行するための準備として、可約曲線のfine compactified JacobianやGieseker曲線・Giesekerベクトル束を参考に、考えるべき層の定義を検討し、性質を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンドル多様体上の加群・無限小s多様体の表現の分類について、着実な進展があった。また、対数的多様体上の層のモジュライについて、興味深い研究対象を見出せた。
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今後の研究の推進方策 |
カンドル多様体上の加群・無限小s多様体の表現については、今後正則でないものやそれらの間のExt群などを調べ、加群圏全体の姿を捉えることを目指す。 対数的多様体上の層については、モジュライ空間の特異点のシンプレクティック解消についてより詳しく調べるとともに、数え上げなどへの応用を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機について、製品サイクル・設置の都合などから購入を延期した。 次年度に購入予定である。
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