研究課題/領域番号 |
22K03244
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
広瀬 稔 名古屋大学, 高等研究院(多元), 特任助教 (70773969)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 多重ゼータ値 / mould理論 / 対称多重ゼータ値 |
研究実績の概要 |
古庄氏、小見山氏との共同研究で、Drinfeldアソシエータのmould理論的な側面に関する論文 "Associators in mould theory" を執筆し、arXivに投稿した。この論文では、Drinfeldアソシエータの集合をmould理論的に一般化し、さらにアソシエータ関係式が複シャッフル関係式を導くと言う古庄氏の結果を、mould理論的に一般化した。 また、multitangent関数のmonotangent関数による展開を、シャッフル版の対称多重ゼータ多項式の係数を用いて記述する公式を証明した。この公式の一つ目の応用として、公式と対称多重ゼータ値が生成する空間に関する安田氏の定理を組み合わせることによって、multitangent関数の空間の構造に関するBouillotの予想を証明した。また、この公式の二つ目の応用として、公式とmultitangent関数の調和関係式を組み合わせることで、川島関係式の精密対称多重ゼータ値に対する類似物を証明することができた。また、これらの成果を論文 "Multitangent functions and symmetric multiple zeta values" にまとめ、arXivに投稿した。 また、多重ゼータ値の深さ構造に関する重要な結果として、重さと深さの偶奇の異なる多重ゼータ値が、より低い深さの多重ゼータ値と円周率の冪の積の和で表せるという結果(parity result)が知られていたが、multitangent関数に関するBoulliotの公式を応用することで、多重ゼータ値のparity resultの明示的な公式を与えることができた。この成果は論文 "An explicit parity theorem for multiple zeta values via multitangent functions" にまとめarXivに投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Boulliotの予想の解決や、多重ゼータ値のparity resultの明示的な公式の発見など、多くの思いがけない研究成果を得ることができた。そのため、本研究は順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、周囲の研究者と密に連携を取りながら、研究を進める。また、研究内容について現在予想していない方向性の発見があった場合は、より重要と判断できるものを優先して研究を進める。
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