研究課題/領域番号 |
22K03257
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
尾崎 学 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80287961)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 単数群 / ガロワ加群構造 |
研究実績の概要 |
2023年度の研究成果は以下の通りである。 代数体のガロワ拡大K/kに対して,Kの単数群U(K)のG=Gal(K/k)-加群構造は代数的整数論における主要な研究対象の一つである。さらに言えば本研究の主題である全円分拡大という無限次拡大の数論を展開する上でも重要な対象である.U(K)/μ(K)は有限生成Z[G]-latticeになり(μ(K)はKに含まれる1の冪根全体),Herbrandの定理によりE(K)にQをtensorしたときの構造は完全に知られている.しかし一般の有限群Gに対してZ[G]-latticeの分類は極めて困難である.そこでU(K)/μ(K)にZ_p(p-進整数環)をtensorしたZ_p[G]-lattice E(K)を考える.Z_p[G]-latticeの分類も良く判っていないが(例えばGのSylow p-部分群が位数pかp^2の巡回群でない場合には直既約Z_p[G]-latticeの同型類は無数に存在する), E(K)の方が取り扱い易い。そこで本研究ではE(K)としてどのようなZ_p[G]-latticeが現われるかという問題を考察して次のような定理を得た:
定理 奇素数pに対してGを巡回p-群とする。そしてCをQ_pをtensorしたときにHerbrandの定理から来る単数群の必要条件を満たすような任意のZ_p[G]-latticeとする。このとき不分岐G-拡大K/kで,E(K)がCと自由Z_p[G]-加群の直和と同型になるようなものが存在する。
Gの位数がp^3以上の場合には直既約Z_p[G]-latticeの同型類が無数に存在することを考えれば,驚くべき結果と言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に必要な知見が新たに得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究成果をGが一般の有限p-群の場合に拡張する方法を研究する。さらにはより精密にK/kに条件を付加した場合にE(K)として現れるZ_p[G]-latticeにどのような制限が加わるかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
個人的事情で海外出張ができない状況のため次年度使用額が生じた。2024年度は海外出張乃至はに海外研究者招聘により国際共同研究を行う。
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