研究課題/領域番号 |
22K03263
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
立谷 洋平 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90439539)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超越数 / 代数的独立性 / 線形独立性 / 空隙級数 / 保型形式 / テータ零値 |
研究実績の概要 |
1954年、P.Erdos-E.G.Strausは多項式増大度を超える空隙をもつようなb進展開(b>1は整数)により表される実数は超越数であることを証明した。これは超越数論における基本的な結果であるLiouvilleの結果(1844)を包括するものである。その後、Erdos(1957)はG.G.Lorentz(1955)の手法を改良し、ある条件を満たす二つの無限級数に対して、それらの和が無理数となるための十分条件を与えた。これは、上述したErdos-Strausの結果の一般化であり、より強く多項式増大度をもつ空隙級数に対しても数論的性質を議論することができる。例えば、整数k>1に対して級数Σ2^{-n^k}は(k-1)次以下の代数的数ではないことがわかる(k=2の場合については、Yu.V.Nesterenkoの定理(1996)からより強く超越性が示されている)。 本研究では、Erdos(1957)の定理の条件の緩和および代数的独立性への応用を目指す。令和4年度においては、空隙級数の係数の増大度と空隙のバランスを考慮することで一定の成果を得ることはできた。しかし、そのバランスの最良性に関する検討については不十分であり改善の必要がある。令和5年度も引き続き本問題に取り組み、代数的独立となる新たな数集合の実例の発見を見据えながら研究を推し進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テータ零値の特殊値の数論的性質を導く新たなアプローチを発見することができたため。研究実績の概要欄で述べたErdosらによる一連の論文で用いられているアイデアは、代数的独立性を与える十分条件を導く可能性を有しており、今後の研究の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、令和4年度に得られた研究成果を足掛かりとして、Erdos(1957)の定理の条件の緩和および代数的独立性への応用研究を推進させる。特に、対象とする数集合のクラスを拡げることは重要な課題である。今後も研究遂行のために関係研究者との情報交換、共同研究を積極的に推し進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外共同研究者との研究打ち合わせを行うために旅費・招聘費を計上していたが、招聘時期に関する都合が合わず不使用になってしまったため次年度使用額が生じた。次年度使用額については、コロナ状況や世界情勢を考慮し、当初の研究計画に沿った形で旅費・招聘費として使用する予定である。
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