研究課題/領域番号 |
22K03266
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
花木 章秀 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (50262647)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | Terwilliger 代数 / 有限単純グラフ / coherent configuration / weight |
研究実績の概要 |
一般化された Terwilliger 代数について、吉川昌慶氏(兵庫教育大)との共同研究で、以下の内容の論文を出版した。グラフの Terwilliger 代数は、有限単純グラフの固定した頂点からの距離によって頂点を分割し、その情報を隣接代数に付加して得られる代数である。これによって距離正則グラフに対しては非常に良い結果が得られているが、一般のグラフに対してはまだ十分な成果は得られていない。本研究では頂点の分割を距離によるものとは限らず、より一般の状況を研究するため、まずは具体例についての考察をしている。元の Terwilliger 代数を含む分割の列を考え、それから得られる代数の違いを考察した。特に Payley グラフなどについて、一定の成果が得られている。 Terwilliger 代数についてではないが、関連する成果として以下の結果が得られている。2023 年に B. Xu は内部構造として3つの partial geometric design を含むクラス4のアソシエーションスキームをその指標表で特徴づけた。これに対してその具体例を構成した。 D. G. Higman は 1976 年に coherent configuration の一般化として weight という概念を定義し、その基本的な性質を求めている。しかしその後その研究はあまり行われていない。考える coherent configuration が本質的に有限群であるとき、weight の同値類は、その群の 2-コホモロジー群と一致することを示した。さらに、Higman による有限群を用いる方法を一般化し、homogeneous coherent configuration の閉部分集合の重複度 1 の表現の可換子環として weight が定義できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
表題にある「一般化された Terwilliger 代数」については、すでに結果を得て、出版もされている。また進行中の関連する研究も順調で、近いうちに論文としてまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
一般化された Terwilliger 代数については、それを用いた距離正則グラフの特徴づけを課題としているが、やや難航しているため、関連する研究に力を入れる予定である。具体的には Higman による coherent configuration の研究を深め、コホモロジー論、拡大理論とつなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって出張を制限したため、残額が生じている。今年度以降に、研究発表、集会参加、集会開催などで使用する予定ではあるが、使いきれなかった場合には返納する。
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