研究実績の概要 |
レベル 6 のモジュラー形式が満たす非線形微分方程式についてまとめました. 具体的には, 微分方程式・微分体, テータ定数の恒等式(theta constant identity), さらに微分公式(derivative formula) についてまとめました. レベル 1 からレベル 6 までのモジュラー形式を今まで扱ってきましたが, レベル 6 が最も内容が豊富だと思います. 今までは主にレベル 2, 3, 5 というように, レベルが素数のモジュラー形式を扱ってきましたが, 今回初めてレベルが素数でないモジュラー形式を扱いました. 素数の場合に比べてレベルが 4, 6 の場合は部分微分体あるいは, 微分体の拡大がより複雑になってきます. 微分ガロア理論で何らかの分析ができれば興味深く思われます. レベルが 6 の場合は線形微分方程式との関連においても内容が豊富であると思われます. モジュラー形式と線形方程式との関係については, テータ定数と超幾何関数方程式の関係が古典的によく知られています. 同じような関係がレベル 6 の場合にも考えられます. 超幾何方程式は確定特異点が 3 つですが, レベル 6 の場合は特異点の個数が増えるため, 内容が複雑になってくると考えられます.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数学を研究するには抽象的な概念だけでなく, 具体例が必要であるが, モジュラー形式が満たす非線形方程式については, 大体において, 研究に必要な具体例が得られたと思われる.
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