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2023 年度 実施状況報告書

等質空間と部分多様体の統計構造の幾何学

研究課題

研究課題/領域番号 22K03279
研究機関北海道大学

研究代表者

古畑 仁  北海道大学, 理学研究院, 教授 (80282036)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード統計多様体 / 2重調和写像 / 部分多様体 / 中心アファイン曲面
研究実績の概要

前年度研究した双極小統計はめ込みが解になるような,統計多様体間の写像に対する自然な変分問題を考察した.この変分問題の解として統計2重調和写像という概念を定式化し,その具体例をいくつか構成した.
リーマン多様体間の写像についての変分問題では,エネルギー汎関数から得られる調和写像という概念が重要である.さらに,調和写像を含む概念として拡張された2重調和写像の研究が進められている.調和写像の統計多様体版は定式化が不自然にならざるを得ないので,2重調和写像の統計多様体版として我々の汎関数を定式化し,その第1変分公式を得た.オイラー・ラグランジュ方程式は4階微分方程式系となり,解析学的な扱いは今後の研究が必要である.まず,すでに研究対象となっていた興味深い写像が統計2重調和写像として理解できることを示した.たとえば,非固有アファイン超球面は,始域および終域の統計多様体を適切に設定すると,その間の非自明な統計2重調和写像になることがわかる.ここで非自明とは,調和写像でない2重調和写像に対応する性質のことを指す.また,非固有アファイン超球面は,アファイン微分幾何学等で重要な概念で豊富な具体例を持つ.なお,これらの研究は,上野龍氏(北海道大学 大学院理学院)と協力して行った.
余等質性1をもつ中心アファイン曲面に関する藤岡敦氏(関西大学)との共同研究の成果を発表した.
また,12月9日から10日まで,北海道大学において,「ミニワークショップ統計多様体の幾何学とその周辺 (15)」を開催した.多くの研究者および学生が参加し,本研究のための情報収集のみではなく,関係分野の交流の場として機能した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

情報幾何学から自立した統計多様体論の確立を目指すという観点からは,当該年度の研究による変分法的な視点の導入は重要なものといってよい.しかしながら,当初の目的であるところの,等質性を有する統計多様体を舞台とする研究という観点からは,順調に進捗しているとは言い難い.

今後の研究の推進方策

リーマン幾何学の対応物を考えると,前年度変分問題の観点から定式化した統計2重調和写像はかなり広いクラスであると予想される.一般的な性質の研究も必要であるが,重要と思われる特定のモデル空間を始域にもつ,あるいは終域にもつ特別な統計2重調和写像のクラスを再度詳細に調べる.
関連する概説の執筆依頼に応えつつ,最近の当該分野の研究状況を再点検する.
ある種の等質性を有する中心アファイン曲面についての研究も並行して行う.

次年度使用額が生じた理由

出張予定の研究集会について,オンラインで参加することになったり,出席できないものが生じた.また,更新予定の設備品の消耗状況を鑑み,購入を延期したため,次年度使用額が生じた.次年度に必要となる見込みで有効に活用する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Centroaffine surfaces of cohomogeneity one with planar curvature lines2023

    • 著者名/発表者名
      Fujioka Atsushi、Furuhata Hitoshi
    • 雑誌名

      Colloquium Mathematicum

      巻: 172 ページ: 173~190

    • DOI

      10.4064/cm8706-9-2022

    • 査読あり
  • [学会発表] 統計2重調和写像2024

    • 著者名/発表者名
      上野龍, 古畑仁
    • 学会等名
      日本数学会2024年度年会幾何学分科会
  • [学会発表] A class of mappings between statistical manifolds2023

    • 著者名/発表者名
      古畑仁
    • 学会等名
      RIMS共同研究(公開型) 部分多様体と群作用の幾何学
    • 招待講演
  • [備考] ミニワークショップ 統計多様体の幾何学とその周辺 (15)

    • URL

      https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~furuhata/workshop/stat/23/

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公開日: 2024-12-25  

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