研究課題/領域番号 |
22K03292
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
枡田 幹也 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00143371)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | トーリックトポロジー / トーラス軌道 / Hessenberg variety / 対称群の表現 / Stanley-Stembridge予想 |
研究実績の概要 |
佐藤敬志氏と Stanley-Stembridge予想の解決を目指して regular semisimple Hessenberg varietyのコホモロジー環の具体的記述とそれ状の対称群作用を調べた.主な結果は次の3つである. (1) コホモロジー環が次数2の元で生成される regular semisimple Hessenberg variety は double lollipop型と呼ばれるものであることを示した(論文投稿中). (2) 上記(1)の場合にコホモロジー環の具体的な表示を与え,対称群の表現を具体的に見た.コホモロジー環の具体的表示はやや複雑であるが,一般的な場合への足がかりとなると期待している.なお系として,double lollipop の場合には Stanley-Stembridge予想が肯定的であることが分かる(論文準備中).組合せ論の観点から,double lollipop の場合には予想が肯定的であることが分かっているが,我々のアプローチは,Brosnan-Chowの定理(Shareshian-Wachs予想の解決)を通した幾何的なものであるので,意義があると思う. (3) Ayzenberg-Buchstaber は regular semisimple Hessenberg variety の twin を定義したが,そのコホモロジーが本質的にLLT多項式であることを見出した(IMRNから出版予定).このような関係があるのは薄々感じていたことではあるが,きちんとした証明を与えることができたのは意義あることと思う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コホモロジー環が次数2の元で生成される regular semisimple Hessenberg variety は double lollipop型と呼ばれるものであることを示したが,この証明にシンプレクティック幾何の結果を用いることができたのは非常に面白かった. また,Ayzenberg-Buchstaberによる regular semisimple Hessenberg variety のtwin がLLT多項式と関係しているのではないかという予感はあったが,これがきちんと証明できたことは大きな進展であったと思う.また,何年も前の考察が,ここで有効であったのも望外であった.
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今後の研究の推進方策 |
Double lollipop の場合のコホモロジー環の表示の幾何学的な意味を明確にし,Stanley-Stembridge予想の肯定的解決を目標に一般の場合のコホモロジー環の表示を探ってみたい.また,我々のアプローチは,Brosnan-ChowによるShareshian-Wachs予想の解決に基づいているが,彼らの証明は高度な代数幾何を用い難解である.GKM理論を用いた初等的で簡明な証明があると思われるので,それも探ってみたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
10万円ほど残が生じたが,2023年度の国内出張の旅費に充てる予定である.
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