研究実績の概要 |
一般化Calabi-Yau幾何とミラー対称性の関係を調べてきた. 2次元の場合, つまり一般化K3曲面に関してはプレプリントarXiv:2108.05197によってほぼ満足のいく基礎理論が完成しているが, 個々の興味深い問題が残されている. 例えば, 塩田-猪瀬の定理「複素剛K3曲面の同型類と階数2正定値格子の同型類が一対一に対応する」のシンプレクティック類似が予想される. 特に今年度は向井格子に2つ偏極を課した一般化K3曲面のモジュライ空間に関して, 古典的な格子編曲K3曲面の場合と比較しながら, Torelli型の定理を援用してその構造を調べた. この2つ偏極は複素・Kahler構造の一般化に関する制約とも考えられ, ミラー対称性の観点からもそのモジュライ空間の構造解明は重要な問題である. また一般化Calabi-Yauと非可換幾何の関係に関する問題についても考察した. このような2次元の場合の詳細な解析と並行して, 最も重要だと考えられる3次元の場合にも取り組んできた. 3次元では量子補正のために構造が複雑化するが, (古典的)一般化CY構造の量子変形とKahler剛性の問題を中心に考察を行なった.
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