研究課題/領域番号 |
22K03297
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
新國 亮 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00401878)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 空間グラフ / 結び目内在性 / 絡み目内在性 |
研究実績の概要 |
1.nを7以上の整数とするとき,n頂点完全グラフの任意の空間グラフにおいて,それに含まれる Hamilton 結び目の Casson 不変量(Conway 多項式の2次の係数)の総和をmとおくと,mはnが8を法として0または7と合同であるとき,(n-5)! を法として (n-5)!/2 と合同であり,一方,nが8を法として0とも7とも合同でないとき,(n-5)! を法として0と合同である(森下-新國).特に n=7 のときは Conway-Gordon の定理にほかならない.逆に整数mが上記の合同条件をみたせば,含まれる Hamilton 結び目の Casson 不変量の総和がmとなる空間n頂点完全グラフが存在することを示した.従って上記の合同条件はこれ以上細かくならず最良のものであることがわかった.この事実は2020年に1度非公式にアナウンスしたが,改めて議論を精査し証明を簡略化して,プレプリントにまとめ arXiv:math.GT/2211.00408 で公開した.
2.絡み目内在性を特徴付けることで知られる Petersen 族と呼ばれる7つのグラフのうち,6頂点完全グラフ K_6 の線形空間グラフ内の結び目・絡み目の型と位置,個数は Hughes,Huh-Jeon により完全に決定されている.一方,7頂点のグラフについては,P_7 の線形空間グラフ内の絡み目の型と個数のみが有向マトロイドと計算機の援用によって求められている(Naimi-Pavelescu).今回,瀨川理奈氏との共同研究により,Petersen 族の7頂点のグラフ P_7,Q_7 の線形空間グラフについて,ある特定の状況設定の下で,結び目・絡み目の不変量を用いた位相的な方法により,含まれる結び目・絡み目の型と位置,個数を決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間グラフの内在的性質の研究,及び線形空間グラフの内在的性質の研究という本研究課題の2つの目的に沿って,順調に成果が上がっている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り研究を推進する.社会がほぼ正常化したので,国内外の研究集会やセミナーに足を伸ばして研究成果の発表や最新の情報の交換及び研究交流を行なう.また特に線形空間グラフの研究については漢陽大の Youngsik Huh と連携して研究を進める.実際に2023年6月に研究代表者が韓国に出向いて研究打ち合わせを実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国内外の社会的混乱の影響で,特に研究出張を満足に行なえなかったことが理由である.社会情勢はほぼ正常化したので,次年度は研究代表者及び研究協力者の国内外の研究出張を中心に使用する.また2023年12月には研究集会「結び目の数理VI」で組織委員を務めることになっており,開催費用の一部に使用する.
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